本紙では例年、各薬科大学・薬学部を対象に実務実習の登竜門である共用試験の結果や、今年度の入学者数などの調査を行っている。その中で少し異変が起こっている。
臨床現場に学生を送り出すための“保証”“お墨付き”となる共用試験の結果公表(各校ホームページ上)が、今年からCBT、OSCEの合格者数のみの表示が多くを占めるようになったことだ。
2006年度入学者に対する初の共用試験が実施されてから3回目となるが、10年度までは受験者総数、CBT、OSCEそれぞれの受験者・合格者数と、両試験にパスした最終合格者数が表示されていた。11年度試験からは、最終合格者数のみの表示となり、一体、何人の4年生が受験し、合格したのかが読み取れないようになっている。
11年度の試験は、「薬大新設ラッシュ」最後となった08年度薬学部設置の鈴鹿医療科学大学、立命館大学でも実施され、全国の全74薬大・薬学部が共用試験を経験した。
これに伴って、今年度から全ての薬大・薬学部が実務実習に学生を送り出すことになり、今年度の実習状況が今後のあり方を考える上でのベースになるだろう。
一方、関係筋によると薬剤師国家試験では、当初予定より、受験者が大幅に減る大学が少なくないという。
少し前になるが、6年制初の第97回薬剤師国試の結果が公表された。合格者総数は8641人、このうち6年制に限ると8182人が合格(合格率95・3%)した。
各大学の新卒者の合格率が気になるところだったが、厚労省からは既卒を含めた大学・学部全体の受験者数と合格者数のみの発表となった。その詳細は公表する方針ではないとのことだった。特に伏せるべきデータとは思えないが、その方針に変更はないようだ。
本紙では全薬大・薬学部に対し現在、6年制卒とそれ以外の既卒者等とに分けた調査を行っている。その中で、新卒者に限ると合格率100%という大学・学部は8校、さらに97~99%、実数で不合格が1~2人という大学も多く、今回の試験で67校にまで薬大が増えたにもかかわらず、高い水準になったように見える。
アンケートをする中、ある大学から「本学は『見かけの合格率』は94%、真の合格率は80%となります」とのお知らせをいただいた。
06年度に初の6年制課程の入学者は、文科省調査では1万1950人であり、これを母数とすると真の国試合格率は68・4%になる。この数字をどうとらえるべきか。今年度から薬大の第三者評価がスタートする。全てのデータをつまびらかに、内外からの評価を仰ぐことで、さらなる発展が得られると期待したい。