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日本薬学会第127年会(組織委員長:倉石泰富山大学大学院医学薬学研究部教授)が、富山市の富山国際会議場などを会場として、28日に幕を開けた。年会は明日までの3日間開かれる。今回の年会は、過去最高となる一般演題発表や、若手研究者の育成という同学会の思いが込められたシンポジウムなどの規格が目立つ。27日には通常総会が開かれ、新会頭に就任した内海英雄氏(九州大学薬学研究院教授)は、薬に関わる学術研究・教育活動を活性化しながら、薬学を専門とする学術団体の存在をより一層対外的にアピールしていく考えを示すと共に、産業界やFIP(国際薬剤師・薬学連合)などとの連携を強化するなど、グローバル活動も加速させていく方針を示し、薬学会の一層の発展に意欲をみせた。
薬学会はグローバルな活動に取り組んでいるが、内海氏は昨年8月にFIPと薬学会との間で結ばれた合意について触れ、FIPのPSWC(国際薬学会議)でのメディシナルケミストリー部門設置決定を受け、薬学会が中心となって同部門の研究グループ(sig)を組織していくことを明らかにした。今年北京で開催されるFIPでは、FIPと日本薬学会とのジョイントシンポジウムの開催も予定されており、着実にグローバルな活動を推進している点を強調した。
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また社会へのアピールに関して、「薬に関する学術団体は薬学会であることを、もっとアピールする必要がある。きちんとアピールするには、科研費などの外部資金の獲得などで薬学の底力を示し、さらに国のプロジェクトなどにも薬学が中心になって担う必要がある」と指摘した。
さらに内海氏は、産学連携にも意欲的で、「産学連携の窓口の学術団体は薬学会であるということを社会に示す必要がある」とした上で、日本製薬工業協会(製薬協)と密接な連携をとっていく考えを示した。その具体的な一歩として、30日には年会で初めて、製薬協企画シンポジウム「医薬品のシーズ探索から市販まで」が行われる。
総会では、[1]新しい薬学教育基盤の整備への積極的な支援協力[2]各部会・支部の活動支援および機能統合による学術研究の推進[3]学会活動のグローバル化と産業界との交流の活発化[4]学会活動を支える財政基盤の強化[5]6年制に対応した薬学会のさらなる活性化の模索””の5つ重点課題とする、07年度事業計画等が承認された。