■初代理事長に鈴木氏を選任
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緩和医療の専門薬剤師育成などを目指す「日本緩和医療薬学会」は、24日に都内で設立総会を開催した。現在の緩和ケア制度では、薬剤師はケアチームの必須メンバーではないが、実際には薬剤師の活躍が高く評価されているケースも多く、今後、在宅緩和ケアにおける薬局薬剤師への期待も高まっている。痛みの治療とQOLを重視した「がん対策基本法」が4月1日付で施行されるのを前に、薬剤師も痛みの緩和ケアに積極的に関わっていこうとの思いが学会という形に結実した。既に800人を超える会員が登録を済ませ、今秋には第1回年会も予定されており、今後の積極的な展開が注目される。初代理事長に鈴木勉氏(星薬科大学薬品毒性学教授)、副理事長に加賀谷肇氏(横浜市南部病院薬剤部長)が選任された。
世話人代表として学会設立準備を進めてきた鈴木氏は、設立総会開催に当たり、「日本の緩和医療のさらなる充実を目指したい」と抱負を述べ、緩和ケアチームにおける病院薬剤師、在宅緩和ケアにおける薬局薬剤師および薬薬連携、それらを支援する大学等の役割も重要性が高まることを強調。また、昨年6月に「がん対策基本法」が公布されたのをキッカケに、設立に向けての準備が進められてきたなど、設立趣旨や経緯を紹介した。
総会では学会会則、評議員、理事長、副理事長を含めた理事・監事、顧問・相談役、各種委員会および委員長などを決めた。
同学会は、薬剤師が緩和医療に携わるには医師や看護師などとの連携が必須なことから、顧問・相談役の形で医師などの支援を得ているのが特徴。また6委員会が設置された。今後、具体的に各種事業を進めていくが、このうち緩和領域の専門薬剤師の育成が大きな柱の一つで、日本緩和医療学会と連携を図りつつ専門薬剤師などの認定制度の検討を進めていく予定。
総会終了後、記念講演会が開かれ、加賀谷氏、同学会顧問の武田文和氏(埼玉医大客員教授)、支援会員の的場元弘氏(国立がんセンター中央病院がん対策情報センター)のほか、麻薬・薬物乱用問題に詳しい藤井基之参議院議員による特別講演も行われ、同学会の発展と薬剤師への期待が表明された。
この中で加賀谷氏は専門薬剤師制度について、具体的な検討はこれからとしながらも、「認定薬剤師と専門薬剤師という二つのハードルが必要だと思う。学会としての認定薬剤師、養成など、日本緩和医療学会と歩調を合わせて進めていきたい」とすると共に、認定は経験症例数や認定試験などが条件になるとし、「研究活動に重点を置き過ぎないよう配慮する」との方向性も示した。