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医薬品開発支援大手のイーピーエス(EPS)は会社分割し、アジアなど海外臨床試験を専門に受託する会社「EPSインターナショナル」を4月2日にも設立することになった。開発のスピードアップを狙い製薬各社の間で需要が高まっているアジア諸国と日本との共同治験の受託を本格化させる。海外事業を独立させることで、海外事業の拡大を加速させたい考えだ。
新会社は、EPSの国際部を分割する形で、その下に中国、シンガポール、韓国にあるグループ会社を置き、それら会社を統括。受注窓口になり、実際の治験業務はグループ会社が行う。
分割登記は4月2日の予定で、本社は東京都新宿区、資本金は1億円。社長にはEPS常務取締役で国際部などを担当する一木龍彦氏が就く。新社本体の従業員は国際部の約10人。
近年はアジア治験が低コストなうえ、日本に比べスピードも速く、ICH‐GCPによりデータの質も国際水準にあることから世界的に注目され、日本でも日本当局へ提出する臨床データを補完する形でのアジア共同治験の機運が高まってきている。
そこで、現在メインのアジア諸国当局への申請につなげる治験の支援に加え、アジア共同治験の支援も本格化させることになった。海外治験の専門会社にすることで、スタッフの意識を海外に向け、海外規制に的確に対応したサービス提供につなげたい考えだ。
同社は、アジア共同治験への追い風やそのサービス提供を専門会社によって行うことで、成長軌道に乗せ、現在、海外事業の連結売上高5億円強(2006年9月期)を08年9月期には倍増の10億円を目指す。
社長となる一木氏は、同じくアジア治験支援を強化しているシミックとの差別化について「特に中国はレギュレーションが難しい。その中で人的つながり、言葉の問題の点でも、われわれは有利だ。韓国は、シミックさんが10年前から進出しているが、治験基盤が整備されたのはここ3年くらいであり、我々はほぼ同じスタートラインにあると考えている」と述べ、今後の受注競争に向け新社の優位性をアピールした。