◆医薬品アクセスと知的財産権をめぐり、大きな論争を呼びそうな事件が起こった。今月、インド特許庁が強制実施権を発動し、独バイエルが販売する抗癌剤「ソラフェニブ」(商品名:ネクサバール)の後発品の製造許可をナトコ社に与えたからだ
◆ナトコはバイエルに対し、同剤の特許が切れる2020年まで6%の特許権使用料を支払うが、後発品の登場で、その薬価は実に97%引き下げられる
◆印特許庁は、バイエルが適正な水準の薬価を設定せず、国内で十分な量を供給していないことを発動の理由に挙げた。確かにTRIPS協定は、公衆衛生の保護を目的に強制実施権の発動を認めている。しかし問題は、「本当に抗癌剤のソラフェニブが公衆衛生に必要なのか」ということ
◆同剤は05年に発売された新薬で、今回は明らかに強制実施権の乱用と言わざるを得ない。特許という新薬の生命線が、こうした形で簡単に破られると、結局は知財保護の強化につながり、ひいては途上国等の公衆衛生改善に支障を来しかねないことを危惧する。
インド特許庁の強制実施権発動で
2012年03月26日 (月)
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