厚生労働省は5日、4月に全面改定する新薬価基準を告示した。収載は合計1万4902品目で、このうち702品目が新薬創出・適応外薬解消等促進加算の要件を満たした。小児適応の効能追加による加算に18品目、希少疾病の効能追加による加算に10品目が該当。不採算品再算定は365品目だった。一方、新薬創出等加算を69品目が返還。後発品収載に伴う特例引き下げは96品目、市場拡大再算定は48品目に適用する。このほか、後発品への置き換え不足の精算として長期収載品1499品目と後発品7559品目で追加引き下げを行う。
新薬創出等加算では、▽薬価収載15年以内で後発品が未収載▽薬価差が平均以下▽再算定に未該当――の全要件を、後発品のない先発品全体の約35%が満たした。数は前回より80品目近く増えたが、後発品の登場などでアリセプトなどの大型品が抜けたため、加算総額は前回並の700億円強にとどまった。加算率の最高は5・14%(前回5・10%)だった。加算対象の約77%となる542品目で薬価が維持された。ちなみに6成分7品目は市場実勢価に基づく算定値が薬価と同額だったため実質的に加算の恩恵を受けていない。
不採算品再算定では、ホルモン剤の「レボチロキシンナトリウム」、生薬「カンゾウ」や、ブドウ糖注射液、生理食塩水、リンゲル液、エタノール、診断用アレルゲンエキスなどの薬価を引き上げる。財源的には最低薬価維持と合わせて350億円弱を充てる。
一方、新薬創出等加算の返還、初後発の特例引き下げ、市場拡大再算定で総額約700億円の薬剤費を圧縮する。
新薬創出加算の返還対象は、いずれも薬価収載から15年が経過したか、後発品が登場したもの。厚労省の開発要請に対応できなかった罰則として利子を上乗せするものはなかった。フローランとアリセプトの2成分14品目は新薬創出等加算から外れると共に、市場拡大再算定を受ける。