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日本イーライリリーは、今年中にも開業医市場に参入し、営業を始める見通しとなった。参入のきっかけとなったED(勃起不全)治療薬のタダラフィル(海外名「シアリス」)の今年後半の発売が見込まれるため。同社は、中途採用に加え41人の新卒MRを採用し、昨年から100人増のMR900人体制を確立。どの程度を開業医向けに振り分けるかは明かしていないが、今後も新規糖尿病治療薬など新製品の投入に合わせて、配置を増やす方針だ。
開業医市場参入は、売上高約821億円の同社が2010年度に売上高1200億円、15年度2400億円を目指す中長期戦略の一環。
19日、都内で開かれた同社の業績説明会で、ニュートン・F・クレンショー社長は「特に今年後半の上市を計画しているタダラフィルをサポートする形で、開業医市場には選択的に参入したい」と、当面はタダラフィルに絞って開業医市場に参入することを表明した。
タダラフィルは、ED治療薬としては3番目。気になる他剤との差別化、マーケティング戦略は「現時点で開示することはできない」としつつも、「非常に重要な薬剤であり、日本での戦略は積極に進めたい」と意欲的な姿勢を示している。
さらに900人体制となるMRも「そのうち開業医市場にどのように割り当てるか、どう戦略展開するかは申し上げられない」としたが、「新製品の上市、競合状態を見て採用し、シェアオブボイスを高めていくために拡充は検討していくべきと考えている」と、開業医市場には相応の体制で攻勢に出ることをうかがわせた。
開業医市場でのタダラフィル以外の営業展開候補には、現在開発中の糖尿病治療薬や骨粗鬆症治療薬が考えられるが、領域が広がり、力が分散されるおそれもあることから、当面はタダラフィルを集中的に営業展開し、体制を整えていく意向だ。
なお、同社の2006年度業績は、売上高は、非定型抗精神病薬「ジプレキサ」や抗癌剤「ジェムザール」などの主力品の伸びが寄与して、7%増の821億円となった。