日本製薬団体連合会(日薬連)が、企業が実施した原料生薬の放射性物質検査の結果を加盟団体を通じて取りまとめ、厚生労働省に報告した。それによるとセンブリ、チクセツニンジン、コウボクなどから放射性セシウムが見つかった。ただ、厚労省の通知で、精密な検査によって放射性物質が検出されないことを確認しなければ製剤原料として使えない運用になっているため、日薬連は「対象原料生薬を用いた医薬品は出荷されていない」としている。
福島原発事故の後、昨年10月までに、日薬連傘下の日本漢方生薬製剤協会(日漢協)が会員企業を対象に行った調査で、東北や関東の17都県産の原料生薬の一部から放射性物質が検出されていた。
今回は、日漢協以外の団体を含めた調査を日薬連が11月に実施。新たに把握した21生薬60検体のうち、センブリ1検体とチクセツニンジン1検体で放射性セシウムを確認した。また、日漢協の調査でも対象となっていた3生薬4検体を別の方法で検査し、コウボク2検体で放射性セシウムを認めた。
さらに、日漢協調査の35生薬109検体の再確認結果も整理したところ、従来は放射性物質が不検出とされたサイコ1検体、ソヨウ3検体、トウキ3検体の3生薬7検体については、検出限界値の取り扱いに誤認があったことが分かり、放射性ヨウ素や放射性セシウムが出たと訂正した。
日薬連は、生薬の主な収穫時期を考慮して、当分の間は年2回の調査実施を検討している。