厚生労働省は、在宅薬物治療で需要が高まっている抗癌剤などの処方箋に無菌室を持たない薬局が対応できるよう、薬剤師法施行規則(省令)を改正して、地域の拠点薬局に設定されている無菌室の共同利用を認める方針を固めた。1月下旬まで改正案に対するパブリックコメントを募集して、2012年4月に施行する予定。
厚労省は、高い無菌性が求められる注射剤や輸液などの調剤を、患者に身近な薬局で実施する体制を整備したい考えだが、高額な無菌設備を全ての薬局に設置することは難しい。そのため、モデル的に共同利用体制を構築する方向で、24日に閣議決定された12年度政府予算案には必要経費として1億6000万円を計上している。
一方、薬剤師法では、処方箋を受け付けた薬局が他の場所で調剤することを原則禁止し、省令で「特別の事情がある場合」に例外を認める取り扱いになっている。
今回の改正案では、「特別の事情」として、高度な無菌調製が必要な医薬品の処方箋が交付された在宅患者に対し、無菌室のない薬局の薬剤師が他の薬局の無菌室を利用して調剤するケースを規定して、共同利用を解禁する。
また、通常だと薬剤の容器や被包へ調剤した薬局の所在地を記載しなければならないが、共同利用の場合は、無菌調製を実際に行った薬局の記載は省略できるようにする。
薬局開設者による都道府県への無菌製剤処理に関する報告は、自施設で実施する場合と同様に義務づける。