政府の予算編成で、後発品普及の遅れによる薬剤費の削減不足を補うために通常改定に上乗せして実施する250億円規模の薬価追加引き下げの対象に、保険収載から長期間が経過した先発品のほか、後発品を含めることが固まった。また、行政刷新会議の政策仕分けを受けて財務省が厚生労働省に求めていた市販品類似薬の一部保険外しは、ビタミン製剤の薬剤料算定を厳格化し、水溶性のビタミンB、Cと同様に脂溶性のA、D、Eなども栄養補給目的だけで投与した場合に算定できないようにすることで決着した。
薬価追加引き下げは、市場に占める金額シェアを基本に先発品と後発品で財源を按分する対応を厚労省は想定している。600億円の財源を捻出した前回改定は、長期収載の先発品に限って薬価を2・2%引き下げた。しかし、後発品との薬価の差額が小さくなることで後発品を使用するメリットが低下することや、関係者全体が責任を負うべき後発品への置き換え不足を先発メーカーだけが引き受けることを疑問視する声が中央社会保険医療協議会などから出ていた。
今回、先発品だけを対象にして推計した下げ率は0・9%程度だった。後発品を含めることで数値は下がる見通しだが、先発品と後発品それぞれの下げ率は現段階では不明だ。
ビタミン製剤については、ビタミン欠乏症や代謝障害の患者が食事で必要なビタミンを摂取できないなど、治療として投薬が必要な場合に給付を絞る。国庫ベースの影響は39億円程度とみられる。
水溶性ビタミン製剤は1992年から、こうした取り扱いになっているが、体内に蓄積される脂溶性ビタミン製剤は、過剰摂取による副作用の危険性があり、単なる栄養補給目的での安易な投与は少ないため、薬剤料を算定する条件としては、明確にしなかった。今後は全てのビタミン剤で算定を厳格化する。
このほか、薬価制度による薬剤費削減では、後発品の大型市場への参入抑止策として新たに導入することになっている、内用後発品の薬価を10品目超で先発品の6掛けにするルールで、約22億円程度の効果を見込んでいる。