厚生労働省は、2012年4月から「母子健康手帳」の様式を変更する。直近の調査に基づいて乳幼児身体発育曲線と身長体重曲線を改訂するほか、胆道閉鎖症など、生後1カ月前後に便色に異常が現れる先天性疾患を早期発見できるように新生児の便色情報を提供する。
母子健康手帳は、1965年に母子保健法で市町村が交付するものとして定められて以降、社会情勢や保健医療福祉制度の変化、乳幼児身体発育曲線の改訂などを踏まえ、概ね10年ごとに様式を見直してきた。
今回は、厚労省の検討会がとりまとめた報告書に基づいて省令改正する。
胆道閉鎖症等の注意喚起については、現行様式でも「便の色がうすい黄色、クリーム色、灰色色で、白目や皮膚が黄色~黄緑色である場合は胆汁が流れにくい状態が疑われる」として小児科等の受診を促しているが、便色調の見本はない。そのため報告書は、「便カラーカード」を手帳と一体的に利用する必要性を指摘している。
このほか、ハイリスク妊娠の増加、妊産婦の意識変化、妊婦健康診査の充実といった現状を踏まえ、妊娠・分娩リスクに関する情報を追記し、妊婦検診の記録欄や妊産婦の自由記載欄を増やす。
また、発達が遅れがちな子どもを持つ保護者に配慮して、成長発達の確認項目の一部について、ある時点で「できる」「できない」を回答する形式から、達成時期を記載する形式に変える。予防接種の様式も充実する。
検討会では、父親の育児参加を促すために、手帳の名称を「親子健康手帳」に変更してはどうかとの意見もあったが、妊産婦と乳幼児の健康の保持増進を重視する考え方から、従来通りにすることにした。