姫路獨協大学は4月から、兵庫県姫路市北部のキャンパスに薬学部医療薬学科(定員120人)を開設するが、2月末に6階建ての新校舎が竣工した。薬学部長には奥村勝彦氏が就任する。薬局薬剤師らによる講義を1年次から豊富に盛り込むなどカリキュラムを工夫。臨床現場を常に意識させ、地域に貢献できる薬剤師の養成に取り組んでいく。
同大学のキャンパス西側に、医療保健学部の校舎と並び立つ形で薬学部の新校舎が建設された。延べ床面積は7542m2。校舎周辺や中庭には、各種の薬草が植えられている。
1階は模擬薬局、6階に動物実験施設、2~4階の各階には実習室などを設置。1階のエントランス部分には、杜仲茶などを楽しめる「漢方カフェ」コーナーが設けられる予定だ。
1987年に、姫路市と獨協学園の「公私協力方式」で設置された同大学は、3学部を擁する文系総合大学として発展してきた。昨年4月には、理学療法士や作業療法士などコメディカルを養成する医療保健学部を新設し、理系分野にも進出。姫路周辺地域は慢性的な薬剤師不足に陥っていたことを受け、引き続き薬学部の新設に踏み切った。
神戸大学教授・附属病院薬剤部長を定年退官した後、同大学に昨年4月に赴任し、薬学部新設の準備に当たった奥村勝彦氏は、「薬学は実学だし、地域に貢献できる薬剤師を育成したい。そのために、早期から地域薬剤師との接点を多くした。卒業して初めて現場を知るのではなく、1年次から知っているという形にしたいと考えた」と話す。
1年前期には「コミュニティーファーマシー論」として10人の薬局薬剤師が、現場の活動状況などを講義。1年後期には「一般用医薬品論」としてドラッグストアの薬剤師に、OTCについて解説してもらう。1年次から1年間を通して現場の薬剤師と触れ合うことで、「臨場感のある教育が行えるだろう」と奥村氏は言う。大学に対して「非常に協力的」な地元薬剤師会や病院薬剤師会と連携しながら、学外実務実習の環境も整備していきたい考えだ。
薬学部の研究室は15、教員(教授・助教授・講師)は32人、助手は15人を予定している。実務家教員は基準より多く、医療薬学系の教員も充実しているという。