ナイコ社統合で変革加速

長谷川社長
武田薬品の長谷川閑史社長は4日、都内で開いた決算説明会で、スイス・ナイコメッド社の買収完了を受け、「2020年をメドに、日本の製薬企業として初めて、真のグローバル企業を目指したい」と方向性を語った。今後、ナイコメッドの完全統合に向け、事業運営体制の強化や人材の多様化を進め、3年以内に統合を完了させる計画。その上で、研究開発の生産性向上、新興国市場のプレゼンス拡大に取り組み、グローバル企業への変革を実現したい考えだ。
同社は、ナイコメッドの買収完了を受け、10月1日から統合プロセスを開始し、経営幹部の選定や世界約70カ国・地域の責任者の任命などに着手。その一環として、研究開発統括職と米欧・北アジアの販売統括職を廃止し、新たにチーフメディカル&サイエンスオフィサー(CMSO)、チーフコマーシャルオフィサー(CCO)を新設した。
CMSOには、英グラクソ・スミスクライン(GSK)で研究開発部門のトップを務めた医師の山田忠考取締役、CCOには米欧販売統括職とナイコメッド社長を兼務していたフランク・モリッヒ取締役が就任。これにより、研究開発の生産性を向上させると共に、新興国売上高が45%を占めるナイコメッドの成長を取り込み、グローバル販売体制の構築を目指す。
長谷川氏は、「オペレーションだけを見れば、ミレニアムやナイコメッドの力でグローバル化は実現できるが、日本の製薬企業として、初めて本当の意味で組織や人材が一つにまとまった真のグローバル企業になっていきたい」との考えを示し、20年をメドに実現したい意向を表明した。