厚生労働省の第6回「介護保険制度の被保険者・受給者範囲に関する有識者会議」が7日に開かれ、有識者を対象にした調査結果が報告された。結果では、被保険者・受給者範囲に関する将来的なあり方で、慎重であるべきと考える有識者が多かった。その理由として、「社会保障全体の給付と負担の将来が不透明であること」などを挙げ、現時点では最終判断できないとの認識を示した結果となった。
調査は、介護保険制度の被保険者及び有識者の範囲のあり方に関して、各界の有識者の意見を聴き、今後の検討の基礎資料にするために実施された。対象は、研究・教育、地方自治体、高齢者団体、経済界、医療保険者、介護サービス提供事業者などの有識者2880人。有効回答数は1411人(49.0%)だった。
結果をみると、被保険者・受給者範囲に関する将来的なあり方として、範囲を「拡大すべき」とした回答者が31.9%であったのに対し、42.2%が「現在は慎重であるべき」と回答して、「拡大すべき」を上回った。「拡大すべきでない」は18.4%だった。
慎重であるべきと回答した理由(複数回答)では、「社会保障全体の給付と負担の将来が不透明で、現時点では最終判断できない」が62.5%で最も多く、「改正介護保険法の円滑な施行や給付の効率化を優先させるべき」が41.3%で続いた。
一方、拡大すべきと回答した理由をみると、「介護ニーズの普遍性を考えれば年齢で区分する合理性・必然性は見出し難く、全ての人を対象とした普遍的な制度を目指すべき」が80.9%に上った。次に多かったのは、「制度の支え手を拡大し、制度の財政的安定性を向上させるべき」の41.5%だった。また、拡大すべきでないとした理由では、「若年者が要介護状態になる確率は低く、これまで通り税を財源として行われるべき」が69.4%で最多。
被保険者と受給者の関係に関しては、「被保険者と受給者の範囲は原則として一致すべき」とする意見が54.9%で半数を超えた。一方で、「一致しなくてもよい」は34.8%という結果だった。また、被保険者・受給者を拡大した場合の受給対象者年齢は、「全年齢」が42.4%だったのに対して、「一定年齢で区分」は47.1%だった。
保険料について、被保険者・受給者を拡大した場合の介護保険料負担者の年齢は、「30歳以上」が27.7%で最も多く、「働いている者は年齢にかかわらず対象」が24.8%、「20歳以上」が19.8%で続いた。40歳未満者の保険料水準に関しては、「世代ごとに設定すべき」という意見が53.6%で、「世代を問わずに同水準にすべき」の30.5%を上回った。