PMDA‐WEST整備など
関西の3府県、3市はこのほど、「関西イノベーション国際戦略総合特区」の構築を内閣総理大臣に共同で申請した。医薬品、医療機器など六つの重点分野を設定。▽医薬品医療機器総合機構の西日本拠点(PMDA‐WEST)機能の整備▽治験センターの創設▽抗体医薬開発など産学官連携の支援▽医薬品・医療機器輸出入手続きの電子化――などを求めている。
関西イノベーション国際戦略総合特区構築は京都府、大阪府、兵庫県、京都市、大阪市、神戸市が共同で申請した。[1]医薬品[2]医療機器[3]先端医療技術(再生医療など)[4]先制医療[5]バッテリー(蓄電池など)[6]スマートコミュニティ――という6分野で32事業を提案している。各事業について9地域における規制の特例措置、制度構築、税制優遇、財政支援などを要求した。
今後、11月中旬の第一次評価の結果公表、12月上旬の総合特別区域推進本部による指定や推進方針案の取りまとめなどを経て、総合特区として指定されるかどうかが、年内に決定する見通しだ。
申請書は、産学官一体となった関西国際戦略総合特別区域地域協議会が策定した。同協議会の委員には、各自治体に加え、大学、塩野義製薬などの企業、経済団体、各地区協議会の代表者ら30人が名を連ねている。同協議会の構成員は武田薬品、参天製薬など137団体に達し、さらに増える見込み。
特区への指定を求めた9地域は、[1]京都市内地区(京都大学、京都府立大学)[2]けいはんな学研都市地区[3]北大阪地区(大阪大学、国立循環器病センター、大阪医療センター、彩都など)[4]大阪駅周辺地区[5]夢州・咲州地区[6]神戸医療産業都市地区[7]播磨科学公園都市地区[8]関西国際空港地区[9]阪神港地区――となっている。
PMDA‐WEST機能の整備では、第一段階として西日本全体の受け皿となるPMDA‐WEST調査・相談デスクを特区内に開設。GCP、GLP、GMPなどの実地調査を担当するほか、製薬会社などからの各種相談業務を行う。第二段階として、PMDA生物系審査部門を移設し、関西の大学などから専門人材を派遣して、PMDAを支援することを提案している。
審査関連では、▽医薬品や医療機器の早期探索的臨床試験について、開発段階からの優先的な相談に対応するPMDA出張所の設置▽先端・先制医療技術に関する審査・評価プラットフォームの構築▽先端技術の権利化に関するスーパー早期審査制度の適用――を求めた。
治験推進については、▽関西の主要な医療機関におけるバーチャルネットワークとして機能する「治験センター」の創設▽早期探索的臨床試験(マイクロドーズ試験など)のデータを治験に活用する仕組みの構築▽治験・臨床研究にかかる病床規制の特例――などを要求した。
創薬については、医薬品分野の産官学連携の支援として、[1]日本初の抗体医薬の難治性疾患への応用[2]中枢神経系制御薬の開発[3]次世代ワクチンの開発――を掲げたほか、放射光とシミュレーション技術を組み合わせた革新的な創薬開発の実施、イメージング技術を活用した創薬の高効率化などが盛り込まれた。