仏製薬大手のサノフィ・アベンティスと非営利団体のDNDi(Drugs for Neglected Diseases Initiative:顧みられない病気のためのイニシアティブ)は、共同開発を進めてきたマラリア治療薬として、アルテスネートとアモジアキンの2剤を1錠中に含む「ASAQ」をサハラ砂漠以南のアフリカ地域で販売すると発表した。「ASAQ」は、2003年にDNDiが設立されて以来、初めて発売された医薬品となる。これまで非営利目的で開発を進めてきたプロジェクトの最初の成功例と言えそうだ。
マラリア治療については、アルテミシニン誘導体と他の抗マラリア薬の併用療法(ACT)を用いるべきことを、WHO(世界保健機関)は世界の多くの地域で推奨している。しかし、この治療法は未だに広く適用されていないのが現状。実際、毎年少なくとも405億人がマラリアに感染しているにもかかわらず、ACTを受けている患者は8千万人以下と言われている。
ACTを広く普及させるためには、価格が大きなネックだったが、ASAQは、1日1回の投与で済み、低価格で使える点が大きな特徴。市販後も特許が適用されないため、価格は5歳未満の小児に対しては1日0.5ドル、5歳以上の小児と成人に対しても1日1ドル以下と、錠剤が2種類の場合と比較して40050%安価になる。今後、ASAQは、“non profit no less”の原則に基づいた価格で、公的機関やNGO、国際組織などに提供されていくことになる。
DNDiのベルナール・ぺクール事務局長は、「新しい混合薬は、服用方法が簡単であるため、患者ニーズに適っている。また、発売当初から安価で特許も適応されないことから、薬剤を入手するための大きな障壁が取り除かれたことは、将来的に顧みられない病気の新薬開発モデルになるだろう」と話している。
なお、ASAQは、Artesunate-Amodiaquine Winthropの販売名で発売される。