医薬品医療機器総合機構の運営評議会が6日に都内で開かれ、承認審査の迅速化を図る取り組みや、審査人員の増員などを盛り込んだ中期計画(2004年度008年度)の改正案を提示した。改正案は、ドラッグラグ解消や審査体制の充実強化、さらには昨年末の総合科学技術会議の提言を踏まえたもの。特にドラッグラグ解消は5年計画で取り組む。今月中には厚生労働省から中期目標の改正内容が示される予定で、総合機構ではこれに沿って中期計画の改正を行うこにとなる。
中期計画改正は、ドラッグラグの問題や、欧米に比べて審査人員が脆弱なこと、審査業務の増加・高度化に対応するもの。また、昨年末の総合科学技術会議の意見具申で、総合機構の治験相談や承認審査の遅延を解消するために、審査人員を概ね3年間で倍増するとの提言も踏まえている。
改正案では、▽業務運営の効率化に伴う経費節減等▽承認審査の迅速化▽人事に関する事項””に関する中期計画の改正案を示した。
承認審査の迅速化の面からは、(1)審査の基本的な考え方の明確化(2)治験相談段階から有効性・安全性に関する評価を行う仕組みの導入(3)国際共同治験を推進するためのガイダンス整備(4)プロジェクトマネジメント(各チームごとの進行管理)制度の導入(5)新医薬品に係る治験相談の処理能力の向上(6)新たな研修プログラムの整備””などの取り組みを盛り込んだ。
治験相談段階から有効性・安全性に関する評価を行う仕組みは、09年度からの導入を目指しており、08年度中にガイダンスを整備する。また、国際共同治験を推進するためのガイダンスは07年度中に整備する。新医薬品に係る治験相談の処理能力の向上に関しては、08年度に年間約420件(現行は約280件)の処理能力を確保すると共に、治験相談の申し込みから対面相談までの期間を2カ月程度(3カ月程度)に短縮する。
人事に関しては、総合科学技術会議の意見具申を踏まえて審査部門の常勤職員の増員を行う。具体的には07009年度の3年間で236人を増員する予定で、現行の中期目標の期間(08年度まで)では、138人を増員する。これによって、期末の常勤職員数は484人(上限)となる。なお、09年度末の常勤職員数は582人(上限)となる。
ドラッグラグは5年計画
開発から承認まで500日
一方、ドラッグラグ短縮対策は5年計画で、11年度までに開発期間と承認期間をそれぞれ1.5年、1年短縮することで、現在ある2.5年のドラッグラグを解消、開発から承認までの期間を米国並みの500日にすることを目指す。
具体的な開発期間に関しては、▽相談業務の質と量の向上▽審査基準の明確化」▽国際共同治験のさらなる促進””といった対策を進めることで、申請前ドラッグラグの1.5年短縮という目標の達成を目指す。
「相談業務の質と量の向上」の面からは、開発期間・コスト改善を促す開発戦略全体への助言や申請前相談を強化することで、申請準備期間の短縮を目指す。また、「国際共同治験」に関しては、日本人症例数比率や試験デザインなどに関するガイダンスを整備すると共に、対面助言における国際共同治験参加への積極的な助言を行う。
一方の承認審査期間については、国内での通常品目の総審査期間を1年短縮することを目指す。具体策としては、▽開発期間の相談業務の一部として、毒性、薬理などの審査業務の実質的な前倒し実施(事前評価の導入)による、申請後審査業務の効率化と申請者業務負担の軽減▽承認審査段階から市販後の安全監視計画に対する助言・指導の実施▽審査業務プロセスの標準化・効率化、進行管理の強化、ITの活用、審査員のスキル向上などによる生産性改善””などを掲げている。
また、年度別の目標設定も示した。主な年度と目標は次の通り。
▽07年度:FDAを参考にした研修プログラムの導入(下期)、国際共同治験ガイダンス整備、審査基準の明確化
▽08年度:新たな審査・相談体制に向けたガイダンス整備、相談件数の大幅増加(現行280件を420件程度へ)、申し込み待ち時間の短縮(現行3カ月を2カ月程度へ)、プロジェクトマネジメント制度の導入(審査の各ステップごとの進捗目標の設定及び申請者との目標の共有)
▽09年度:相談メニューの拡充、申請内容の事前評価も含めた新たな相談・審査体制の導入(年度当初より)