ロート製薬、カゴメ、カルビーの3社は21日、東日本大震災による震災遺児の進学を支援するための奨学基金を、合同で設立すると発表した。来月早々にも一般財団法人「みちのく未来基金」を立ち上げ、その後早い時期に公益財団法人の申請を行っていく考え。基金は、発起企業の3社による拠出金(各3000万円)を中核とし、幅広い業種の企業・個人からの寄付を募っていく。
東北を中心とした被災地では、両親を亡くした、あるいはいずれかの親を亡くした子どもたちが1800~2000人ともされるが、正確な数字は把握できていないのが現状。それに、震災によって、進学を諦めた生徒も少なくないという。
発起企業の一つである、ロート製薬の山田邦雄会長兼CEOは、「今回の復興の過程は、非常に時間を要する困難な道であることが予想される。3社はこれまでも、企業として様々な社会貢献活動を行ってきたが、民間企業として長期的に復興を支援する仕組みづくりが必要と考え、業界の垣根を越えて賛同した。震災遺児の進学の夢を支援し、東北や日本のために貢献できる人材育成につなげたい」と述べた。
現時点での子どもたちへの支援は、児童福祉法の対象となる18歳未満の支援は数多く存在するものの、高校卒業後に進学した後の支援は、返済を要する奨学金がほとんどで、進学者の経済的負担が非常に大きくなる。そこで、今回設立する「みちのく未来基金」では、全く新しい給付制度とした。
給付対象者は、来年3月以降に高校を卒業し、進学を希望している生徒で、両親(どちらかの親)を亡くしたことと、大学・短期大学・専門学校などへの合格が条件となる。年間の給付上限は300万円。入学から卒業までに必要な全額(入学金、授業料等を含む)を負担するが、返済は不要で、他の奨学金との併用受給も可能とした。給付対象者の人数制限を設けず、進路によって違う教育年限にも、それぞれ全面的に応じるのが特徴。あくまでも修学のための“学費”という性格のため、留年や休学をした場合は特別の事情がない限り、給付は終了となる。
今後の寄付状況や対象者数にもよるが、基金の総額は25年間で40億円ほどを想定している。申請は各県の高校の推薦となるが、現時点で既に70人以上の申請予定者を確認しているという。基金の準備事務局は宮城大学(宮城県黒川郡)の震災復興産学支援センター内に置かれている。詳細は準備事務局ホームページ(http://michinoku-mirai.org)まで。