厚生科学審議会感染症分科会感染症部会の「エイズ・性感染症ワーキンググループ(WG)」は16日、「後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針(エイズ予防指針)」「性感染症に関する特定感染症予防指針」の改正案をまとめた。両指針は部会への報告、パブリックコメント募集などを経て早ければ年内にも告示される予定だ。
改正エイズ予防指針は、▽「検査・相談体制の充実」の位置づけ強化▽個別施策層に対する検査目標設定の必要性を明記▽地域における総合的な医療提供体制の充実▽NGO等との連携の重要性を明記――が4本柱。
エイズに関しては、国内外を問わずNGOによる支援が活発であることから、改正指針では随所にNGOとの連携が盛り込まれた。また、よりきめ細かな施策の実施が必要とされる個別施策層に、薬物乱用者が追加され、薬乱防止の取り組みなど関係施策との連携強化の視点も追記された。
改正案を踏まえて、委員からは「学校教育の役割に対する記載が不十分」「若手研究者の育成、人材の裾野を広げる点にもさらに踏み込むべき」などの意見が出された。学校教育の役割については、池上千寿子委員(NPO法人ぷれいす東京代表)が「学校教育の重要性は言うまでもない」とした上で、現状では感染がMSM(男性同性愛者)に集中しており、こうした個別層は学校教育外にいることを指摘し、「学校教育に触れられない層にどう関わっていくかが重要」とした。
性感染症に関する特定感染症予防指針は、[1]発生の予防・蔓延の防止[2]医療の提供[3]情報収集・調査研究--の三つの視点から改正案がまとめられた。医療の提供では、学会等と連携して性感染症の専門家を養成し、標準的治療指針の普及を図っていくことが必要とされた。また、若年層が受診しやすい医療体制整備、分かりやすい情報提供の視点も明記した。