厚生労働省保険局医療課は6日付で、東日本大震災の被災地に対する診療報酬上の緩和措置を通知した。患者の周囲にあった医療機関が全て機能していなかったり、最寄りの医療機関までの交通手段のない仮設住宅に入居して、頻繁に医療機関を受診できない場合、薬価収載後1年以内の新薬であっても、14日を超えた処方を認めることを盛り込んだ。
対象は岩手、宮城、福島の3県の医療機関で、期間は当面2011年度末まで。
中央社会保険医療協議会が被災地を視察した際、現地から出ていた要望を実現したもので、14日処方制限の緩和は12日から適用する。
入院診療については、看護職員が不足しているため、入院基本料の算定で、通常は直近1年間の実績で決まる月平均入院患者数を、震災後に患者数が減少してからの平均値で計算できるようにするほか、看護職員の人数や勤務時間の変動を2割まで許容する。退院の受け皿となる後方病床が機能しないために、入院期間が長期化する事態には、平均在院日数が要件の2割以内であれば、従来の入院基本料を算定できるようにすることで対応する。
また、通常であれば、外来を行わない医療機関を保険指定しないが、医師不足などでやむを得ず外来を閉鎖して入院診療を行う場合には、保険医療機関として取り扱う。周囲に入院施設が足りないなどの事情があれば、外来を行わずに在宅療養に特化する診療所などにも保険診療を認める。
このほかは、在宅患者訪問診療料、在宅患者訪問看護・指導料などを、末期癌患者を除いて、週3回を超えて算定できるようにする。