日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は、2006年度の全国ドラッグストア実態調査の結果を発表した。調査はJACDS正会員企業だけでなく、会員外企業についても同業者の視点から調査しているのが特徴で、今回で7回目。調査結果によると日本のドラッグストアの店舗数は前回調査(05年度)から289店舗増加し、1万5014店舗が確認された。また総売上高についても4.9%増の4兆6774億円と予測されるとするなど、着実に規模が拡大していることが分かった。
調査は、日本のドラッグストア業態の動向、変化を明らかにすることを目的に、2000年度から毎年同じ方法で実施されている。JACDS正会員についてはアンケートで、会員外企業については都道府県ごとに会員の中から調査担当会社を選んで、昨年10月から今年1月末にかけて行われた。
有効回答数は、正会員193社中191社(調査項目により非公開会社もあり、有効回答率は項目で異なる)、会員外は428社(原則としてドラッグストアを複数店舗経営、調査項目により有効回答は異なる)
ドラッグストア店舗数についてみると、対象企業数は621社と前回に比べ減少しているものの、店舗数は約300増加し1万5014店舗となった。店舗数は第1回調査から連続して増加を続けている。
規模別店舗数では、有効回答のあった正会員183社1万0081店舗、会員外105社917店舗の計288社1万0998店舗についてみると、最も多い店舗規模は「1500300坪未満」の3751店舗で、全体の34.1%(昨年32.0%)を占める。次いで「600150坪未満」の3072店舗、28.0%、「30坪未満」の1872店舗、17.0%、「30060坪未満」の1542店舗、14.0%。また300坪以上の店舗も761店舗あり、全体の6.9%(昨年5.4%)と増加傾向にある。ここ5年間における推移からは、150坪以上店舗の増加が目立ち、年々大型化しているが、特に「1500300坪未満」の店舗の増加が顕著となっている。
この有効回答構成比を基に、全国の1万5014店舗を規模別に予測しているが、それによると「30坪未満」が2552店舗、「30060坪未満」が2102店舗、「600150坪未満」が4204店舗、「1500300坪未満」が5120店舗、「300坪以上」が1036店舗としている。
売上高は、正会員159社8816店舗の有効回答値からは2兆7589億円の規模であることが確認された。これを基に、店舗の確認ができた全国のドラッグストア621社1万5014店舗の売上高を予測すると4兆6774億円となり、伸び率は昨年に比べて4.9%と、依然高い成長を続けていることが分かる。総売上高についても、これで第1回調査から7年連続で前年実績を上回るという結果となった。
商品群別に売り上げをみると、「医薬品」の売上高は正会員の有効回答値からは7914億円となった。これを基に全国ドラッグストアの売上高を予測すると、1兆4167億円となり、前回に比べて4.7%増加している。
「化粧品」の売上高については、正会員の有効回答数値からは5989億円となった。これを基に全国のドラッグストアの売上高を予測すると、1兆1669億円となり、前回に比べて5.7%増加している。
「日用雑貨」の売上高は、正会員の有効回答数値からは6533億円となった。これを基に全国ドラッグストアの売上高を予測すると、1兆0609億円となり、前回に比べて4.4%の増加となった。
このほか家庭雑貨、衣料雑貨、食品(健康食品を含む)など「その他」の売上高は、正会員の有効回答数値からは7152億円となった。これを基に全国ドラッグストアの売上高を予測すると、1兆0329億円となり、前回に比べ5.2%増加した。調査品目の詳細は不明だが、健康食品などの成長が寄与したのではと思われる。
■2012年に向けた将来予測も発表”Dgsは10兆円産業、3万店舗へ
今回の調査では、ドラッグストア業界全体の伸び率(総売上高)は前年比で4.9%となり、個人消費の伸び悩みなど景気回復が実感できない状況の中で、他の業態と比べドラッグストアの健闘が目立つ。調査を行ったJACDSでは「ドラッグストア業界は昨年の改正薬事法、医療改革等によって、24時間営業や調剤取り込みへの準備期間に入ったともいえる。2012年にはドラッグストアは10兆円産業になることが可能」と、将来予測もまとめている。
10兆円の内訳は、まずセルフメディケーションの定着による効果として5兆円を見込んでいる。セルフメディケーションが国民に普及し、プライマリケアやインフォームドコンセントが進むことにより、地域密着したドラッグストアは薬剤師やヘルスケアアドバイザー等の活躍により、信頼ある健康管理拠点として実力を発揮するとし、5兆円のうち、OTCマーケットが1兆円に拡大。残りの4兆円は、ドラッグストアの調剤対応が進み、面分業の受け皿分が拡大するとしている。
このほか、ヘルスケア・ビューティケアマーケットの拡大による2兆円、生活密着商品・コンビニエンスマーケットの取り込みによって3兆円を挙げている。特に現在7000億円強のマーケットとされるサプリメントが、生活に密着したドラッグストアの主力商品として育ち、いわゆる健康食品も規制緩和や商品開発が進むことによってさらに拡大すると見ている。また今後、店舗が大型化し、営業時間が延長されて品揃え・サービス・システムが構築されることで、美と健康と共に生活密着商品を総合的に提供する、毎日の生活を24時間サポートするドラッグストアとなることで、マーケットが急速に拡大されるとしている。
JACDSではドラッグストアを10兆円産業と予測する一方で、「こうした有望なマーケットを確実なものにするため様々な改革や阻害要因を取り除き、インフラの整備を進める必要がある」ことを強調。「協会でも様々な基盤整備活動を展開していく。そして改正薬事法の趣旨に則り、安全性を確保した上で、生活者に分かりやすく便利な一般用医薬品を提供していく。こうしたことにより国民生活に密着したドラッグストアが06年度の1万5014店から09年度には2万店、そして12年度には3万店舗以上(人口300004000人に1店舗)構築することが可能になる」としている。