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日本薬学会薬学教育改革大学人会議の第三者評価検討委員会が策定を進めていた、薬学教育(6年制)第三者評価の評価基準案がこのほどまとまり、1日に京都市内で開かれた説明会で概要が示された。6年制薬学教育の質を社会に対して保証するのが主な目的。今後、評価基準要綱や評価実施機関の概要を固めた上で、2010年から2年間のトライアルを実施、2012年から正式な評価が開始される計画だ。
薬学教育の第三者評価は、4年から6年への教育年限の延長を認めた04年2月の中央教育審議会の答申で、その必要性が提言された。年限延長に伴い、その趣旨を踏まえた質の高い教育が十分に行われているかどうか、確認する必要があるという指摘だ。
これを受け、日本薬学会が中心になり、薬局薬剤師や病院薬剤師などの意見も踏まえて策定したのが今回の評価基準案。「薬学共用試験(CBTおよびOSCE)の実施結果が公表されていること」など、全部で71項目に及ぶ基準が並べられている。
基準案の大項目は、[1]理念と目標[2]教育プログラム[3]学生[4]教員組織・職員組織[5]施設・設備[6]外部対応[7]点検――の七つに分かれる。中項目としては、「実務実習」「問題解決能力の醸成のための教育」「社会との連携」など12項目が設定された。
特に、▽豊かな人間性や高い倫理観▽医療人としての教養▽現場で通用する実践力▽課題発見能力・問題解決能力――などを備えた薬剤師を養成できるように、その教育体制を複数の観点から評価することに重点が置かれた。全学年を通した医療人教育、薬害など医療安全教育、卒業研究の必修化などが盛り込まれている。
達成しておくべき必須条項は「…であること」「…とされていること」と示し、努力条項は「…に努めていること」と表記された。これにより教育研究活動の質を保証するのが目的だが、理想を掲げることによって改善が促進されるように、「…が望ましい」と表現した“理想条項”が設けられた点が特徴だ。
今後、各薬系大学にアンケート調査を実施し、寄せられた意見を基に基準案を修正。並行して10年からトライアルを実施、12年の正式な評価開始に向け、評価手順などを加えた「評価基準要綱」の策定や、実際に評価を実施する第三者機関の体制構築などを進めていく。
評価手順は概ね、[1]評価基準に沿った自己点検・評価[2]第三者機関への書類・資料の提出[3]書類や資料の審査、実地調査[4]評価の決定と公表――となる見通し。自己評価では、基準を満たすことを裏付けるための資料を用意しておく必要があるという。507年ごとに評価を行い、指摘事項がある場合は102年後に再評価するという枠組みが想定されている。
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認定を受けるか否かは各大学の任意だが、基準案の策定を主導してきた井上圭三氏(帝京大学薬学部教授)は説明会で、「CBT、OSCEを適切に行っていることや、各大学が実習前の教育を適切に行っていることを社会に保証し、それによって薬剤師免許を有さない学生が、医療現場で体験型実習をすることが可能になる」と、その効用を強調した。
また、認定結果の公表について井上氏は、▽認定を受けた大学名のみ公表▽全ての望ましい観点をクリアした大学に優良マークを付記▽各大学や評価機関が評価結果の詳細を公表――などの選択肢が想定されるとし、「受験生など社会へのアピールにもなる」と話した。
■「日本薬学教育認定機構」(仮称)も立ち上げへ
現在、高等教育の認定には、大学全体の経営や運営などを査定する「機関別評価」と、学部や大学院など各領域ごとに査定する「専門分野別評価」の2種類がある。機関別評価は04年から各大学に義務付けられ、文部科学省の認定を受けた大学評価・学位授与機構など3団体が認証を行う体制が出来上がっている。
今回の薬学教育に関する第三者評価は、専門分野別評価に該当するものだ。この評価では、法科大学院が機関別評価と同じ評価体系で、工学系分野が任意団体による評価体系で、それぞれ査定を受ける体制がある。薬学教育分野では任意の評価団体として「日本薬学教育認定機構」(仮称)を立ち上げ、工学系に似た体系で評価を受けることが想定されているが、将来は機関別評価と同じ土俵に乗る可能性もある。
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2006年08月15日