厚生労働省は26日、医療保険分と公費分を合わせた2010年度の概算医療費が、前年度から3・9%増加して過去最高の36兆6178億円になったと発表した。このうち調剤は6兆0822億円で、薬価引き下げを反映して伸び率は3・6%と前年度を4・3ポイント下回り、処方箋1枚当たり調剤医療費は4年ぶりに落ち込んだ。なお、10年度医療費は、東日本大震災に伴う特例として認めたレセプト概算請求の3月分約50億円を除いた額。自衛隊や支援チームなどによるレセプト請求を行わない医療費も含まない。
医療費の増加は8年連続。稼働日数を補正し、診療報酬プラス改定分の影響を除いた伸び率は3・4%で、厚労省は「概ね従来と同水準」としている。さらに高齢化による増加分1・5%程度を除いた2%前後が、医療の高度化による伸び。
診療種類別の医療費は、医科入院が14兆9030億円で全体の40・7%、医科入院外と調剤の合計が19兆0422億円で52・0%、歯科が2兆5923億円で7・1%となっている。医科入院外は、急性期入院に重点配分した改定の影響で、6・2%の大幅増という結果になった。
医科・歯科については、1日当たり医療費が1万1600円で3・8%伸びて医療費総額を押し上げた。受診延べ日数は6年ぶりに増加に転じ、0・1%増の26・2億日となった。
調剤は、処方箋枚数が7・6億枚で4・3%増加したものの、1枚当たり医療費が7985円に0・6%低下した。
電算処理分ベースで処方箋1枚当たり医療費の内訳を見ると、技術料が4・7%増の2104円、薬剤料が2・4%減の5867円、特定保険医療材料料が1・3%増の13円で、薬剤費比率が73・5%へ前年度から1・3ポイント縮小した。
1枚当たり調剤医療費は年齢と共に高くなり、75歳以上が1万0008円で、5歳未満の3149円の約3倍に達する。ただ、10年度は45歳以上は全年齢階級で前年度から減少した。
内服薬の処方箋1枚当たり薬剤料は3・0%減の4936円だった。これを要素分解すると、[1]1枚当たり薬剤種類数が1・2%増の2・90[2]投薬日数が0・9%増の19・9日[3]1種類1日当たり薬剤料が5・0%減の86円――となっている。
厚労省は、近年3%以上だった投薬日数の伸びの鈍化と、1種類1日単価の落ち込みが、内服薬の1枚当たり薬剤料の減少につながったと分析している。
内服薬の薬効分類別1枚当たり薬剤料を見ると、循環器官用の1407円が最も高く、次いで中枢神経用の658円が高い。対前年度比は中枢神経用が4・1%伸びたのに対し、ビタミン剤は9・7%低下した。
後発品の数量シェアは22・4%で、3・4ポイント上昇した。都道府県別では、最高の沖縄35・9%に対し、最低の秋田は17・8%だった。