CMには川原亜矢子を起用
現代人の約5人に1人が寝つきが悪い、眠りが浅い、夜中に目が覚めるといった“不眠”の悩みを抱えているとされ、その原因の多くが仕事等でのストレスや不安、人間関係の悩みということから、今後も質の良い眠りの実現に向けたニーズの高まりが予想される。こうした中で、一時的な不眠症状に向けたOTC睡眠改善薬は、2003年にエスエス製薬が「ドリエル」を発売してから市場規模を拡大させており、02年の約32億円から05年には2倍以上の約73億円となるなど、着実に需要を獲得している。この市場に1日から新製品を投入したのがグラクソ・スミスクライン(GSK)で、海外での販売実績を踏まえ積極的な販促を行っていく戦略だ。迎え撃つエスエスも同じく1日から新剤型のドリエルを発売するなど、「睡眠改善薬」市場をめぐる今後の展開が注目される。
キャプレット型錠剤「ナイトール」、海外での実績から日本市場に投入‐グラクソ・スミスクライン
GSKが新発売した睡眠改善薬「ナイトール」は、有効成分はドリエルと同じく抗ヒスタミン作用のある塩酸ジフェンヒドラミンで、一時的な不眠(通常は2~3日、長くても一週間程度)による「寝つきが悪い」「眠りが浅い」といった症状を緩和する。1回2錠中に塩酸ジフェンヒドラミン50mgを含有し、成人1日1回就寝前に服用する。服用しやすいキャプレットタイプの錠剤で、溶出が早いのも特徴。税別希望小売価格は6錠入り(3日分)1000円、12錠入り(6日分)1900円。
同社では「朝起きても熟睡感がない、夜中に何度も目が覚める、なかなか寝つけないといった不眠で悩んでいる割合は、男性に比べて女性の方が若干高い。CMキャラクターには女性からの高い好感度で、モデル・女優として活躍中の川原亜矢子を起用。4月16日から放映を開始し、不眠の悩みを持つ女性層へアピールしていく」(三隅能子コンシューマーヘルスケア事業本部OTC/NRTマーケティング・事業開発部シニアブランドマネージャー)とする。1日には睡眠に関するサイト(http://nytol.jp/)も開設した。
GSKのOTC睡眠改善薬は20年以上にわたって世界各国で販売されており(発売承認は15か国)、英国では80%を超えるトップシェアを有しているという。1日に都内で開いた新製品発表会では、コンシューマーヘルスケア事業本部のジャン・ミッシェル・シュロッサー部長も、海外での実績を踏まえての今回の上市に強い期待を表明した。なお海外での売上高及び日本での販売目標等の数字は公表していない。
ソフトカプセル「ドリエルEX」、独自技術で素早い溶解性が特徴‐エスエス製薬
エスエス製薬が新発売した「ドリエルEX」は、1回1カプセルの服用で一時的な不眠に伴う「寝つきが悪い」「眠りが浅い」といった症状に効果を現す、ソフトカプセルタイプの睡眠改善薬。1カプセル中に有効成分の塩酸ジフェンヒドラミン50mgが水溶液の状態で封入されているので、服用後速やかにカプセルが溶解し、10分以内にほぼ全ての内容物が放出されるという。
ソフトカプセルの膜は主に水溶性のゼラチンが使用されるため、薬液が水溶性の場合はゼラチン膜を溶かしてしまうためカプセル化が困難だった。塩酸ジフェンヒドラミンも水溶性成分のため、従来はソフトカプセル化が不向きとされたが、同社独自の技術で封入することを実現した。同技術は水溶性の薬物を僅かな水に溶かし込み、更に水に近い特性を持ちながら、ゼラチンを溶かさない特殊な水性基剤に溶解するというもの(特許出願中)
リラックスアロマとして知られるラベンダー香料をカプセル皮膜に封入しており、リラックスした気分で服用できる。成人1回1カプセルを1日1回、就寝前に服用する。税込み希望小売価格は6カプセル2310円。初年度販売目標は10億円とする。