医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、2型糖尿病治療薬「ピオグリタゾン」について、欧州医薬品庁が7月21日付で膀胱癌の患者・既往患者を禁忌に設定したことを受けて、改めて国内の添付文書の取り扱いを検討した結果、「膀胱癌を増悪・再発させるエビデンスはない」として、禁忌に設定する根拠はないと、7月28日までに結論づけた。
ピオグリタゾンをめぐっては、膀胱癌の発癌リスクを高める可能性があるとして、6月以降に各国が相次いで措置を講じた。日本では、患者への事前のリスク説明や、定期的な尿検査を条件に、活動性膀胱癌を除いて原則使用を継続することを決め、6月24日にメーカーに添付文書の改訂を指示している。
その後、欧州は7月21日に、精査されていない肉眼的血尿のある患者も禁忌に加えたが、国内では糖尿病に対する通常の医療行為として、血尿の精査がされているため、PMDAは特に添付文書による特段の注意喚起の必要はないと判断。現在講じている措置を当面続けることとした。
ただし、膀胱癌発生リスクに関する日本人の情報が得られていないため、PMDAは「製造販売業者はケース・コントロール研究の実施を前向きに検討する必要があると考えている」としている。