化粧品に「乾燥による小ジワを目立たなくする」という新しい効能が認められた。厚生労働省医薬食品局が、21日付で改正通知を発出した。化粧品への新効能追加は、2000年12月に55効能に整理されて以来、10年ぶりのこと。しかし、日本化粧品工業連合会(粧工連)が合わせて要望していた、紫外線によるシワの防止は今後の検討課題とされ、今回の改正には盛り込まれなかった。
通知では、56番目の効能が追加されたことを示すと共に、追加効能を標榜するに当たっての留意事項として、▽日本香粧品学会の「新規効能取得のための抗シワ製品評価ガイドライン」に基づく試験等により、製造販売業者の責任において効果を確認する▽製造販売業者は、消費者等からの問い合わせに、適切に対応できる体制を整える▽表示・広告を行うに当たっては、粧工連が新たに定めた化粧品等の適正広告ガイドラインに基づいて行う――などを求めた。
今回の新効能追加は、粧工連が3年あまり前から、化粧品の新たな効能として、シワに関する内容を盛り込むよう求めたことに始まる。要望を受けて厚労省は、昨年8月27日に開かれた薬事・食品衛生審議会化粧品・医薬部外品部会に、効能範囲の一部改正案を提示し、今年2月には効能追加案のパブリックコメントを実施した。
パブコメでは、[1]皮膚にうるおいを与え、乾燥によるシワを目立たなくする[2]紫外線(日やけ)によるシワを防ぐ――という二つの効能追加案が示された。
前者に対しては、「改正は一過性のシワを目立たなくすることが趣旨であるため、シワという表現は適切ではなく、小ジワに限定すべき」「皮膚にうるおいを与えるという既存効能があるため、皮膚にうるおいを与えの部分は不要」などの意見があり、乾燥による小ジワを目立たなくするとの表現に整理された。
後者に対しては、「この効能は、サンスクリーン製品に限って認めるべき」「日やけを防ぐという既存効能があり、これで十分に製品意図が通じる」など、消費者等から新効能に反対する意見が出された。このように業界、専門家、消費者団体等の間で、見解に大きな相違が見られたことから、後者の効能は今後の検討課題とされた。