薬系大学・薬学部は今年度も総定員割れしたが、志願者数は昨年度より2300人ほど多い7万6261人だったことが、日本私立薬科大学協会の2011年度入学志願者数調査で分かった。志願者数は一昨年度に8万人を切り、昨年度も減少していたが、受験生の“薬学離れ”に回復の兆しが見えてきた。また、平均競争率も6・6倍と昨年度よりわずかに高くなった。
調査は、私立薬大協加盟の57校(徳島文理香川薬学部含む)を対象に行った。今年度の定員数は、昨年度より90人減少し1万1599人。総志願者数は昨年度より2318人多い7万6261人となり、減りつ続けていた志願者が僅かながら増加に転じた。
平均倍率(総志願者数/定員)は6・6倍で、一昨年度と同水準となり、昨年度の6・3倍を上回った。総志願者数/総入学者数は7・0倍で、0・4ポイント昨年度より増えた。
志願者のうち6年制は、一括入試の大阪薬科大学を含めると7万1522人(昨年度6万9587人)と7万人台に達した。4年制は4739人(4356人)だった。
志願者減少に歯止めがかかった形だが、大学間では志願者数・倍率に大きな差があり、平均倍率を上回ったのは57校中22校(23校)だった。
このうち最も倍率が高かったのは、昨年度に引き続き近畿大学の21・3倍(19・1倍)、次いで立命館大学が21・2倍(15・1倍)と大きく躍進した。このほか、東京理科大学19・3倍(17・6倍)、慶応大学16・2倍(17・1倍)、武蔵野大学15・6倍(18・7倍)、星薬科大学13・2倍(13・1倍)で、摂南大学、神戸学院大学、明治薬科大学、福岡大学で2桁の倍率となった。
一方、倍率が3倍未満が20校(18校)、2倍未満が13校(11校)と増加した。昨年度は定員に満たない大学もあったが、今年度はなかった。地域的には東北、中四国、九州、千葉の一部で低倍率が続いている。
6年制と4年制とを分けると、6年制(大阪薬大学含む)は募集定員1万0984人に対し、志願者数7万1522人で6・5倍、4年制は615人に対し、4739人で7・7倍となった。
このうち6年制の一般入試は、6541人募集に対し志願者は6万人台を回復し6万0903人となり9・3倍だった。推薦入試は4443人に対し1万0619人が志願し2・4倍だった。
一般入試で最も倍率が高かったのは東京理科大学の34・2倍、次いで立命館大学29・7倍、近畿大学23・8倍、慶応大学21・3倍が20倍を超えていた。このほか10倍以上だったのは15校で、いずれも中心は東西の旧設校だった。
志願者が最も多かったのは、昨年度に続き明治薬科大学の3837人(4023人)、次いで近畿大学3825人(3435人)、星薬科大学3701人(3672人)、東京理科大学3482人(3174人)、慶応大学3410人(3591人)、東京薬科大学3280人(2678人)だった。
最も少なかったのは青森大学の98人で、3桁を切った。次いで徳島文理大香川薬学部の154人、奥羽大学165人、いわき明星大学172人、安田女子大学198人が100人台、200人台も7校あり、志願者総数が300人に達しなかったのは11校に及んだ。