各種癌検診の受診率はここ3年、横這いが続いていることが、厚生労働省が公表した、2010年「国民生活基礎調査」で分かった。乳癌や子宮癌検診は若干改善してきているが、胃癌、肺癌、大腸癌検診などは、期待されたほど伸びてはいなかった。
昨年の胃癌検診の受診率は、男性34・3%(07年32・5%)、女性26・3%(25・3%)とわずかに上昇した。肺癌は、男性24・9%(25・7%)、女性21・2%(21・1%)、大腸癌は男性27・4%(27・5%)、女性22・6%(22・7%)と横這いが続いている。
子宮癌、乳癌検診の受診率は共に24・3%で、07年の21・3%、20・3%から増加している。子宮癌と乳癌の検診は、原則として2年に1度行うため、過去2年間に受診した人についても調査した結果、子宮癌は32・0%で、乳癌は31・4%だった。
子宮癌、乳癌検診の受診率が上がった要因について厚労省は、09年度から無料クーポンの配布事業を始めたためではとしている。
07年に策定したがん対策推進基本計画では、「12年度末までに受診率50%以上を目指す」との目標を掲げているが、目標達成は困難な状況な状況にある。厚労省は、がん対策推進協議会の意見を聞きながら、目標値の見直しなども含め、対応を検討していく考えだ。
一方、基礎調査では、病気などで通院している人(通院者率)についても公表した。昨年の通院者率は37・0%で、3年前の33・4%より4・4ポイント増えた。男性が34・8%、女性が39・0%で、年齢別に見ると、「10~19歳」の15・7%がもっとも低く、年齢が高くなるに従い上昇している。通院者率は、いずれの年代でも増加しており、80歳以上では71・0%となっている。
病気として最も多いのは、男女とも「高血圧症」だった。男性では▽歯の病気▽糖尿病▽高脂血症(高コレステロール血症など)▽腰痛症--と続く。女性は▽高脂血症(高コレステロール血症など)▽歯の病気▽腰痛▽目の病気--の順だった。