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ファイザーの岩崎博充社長は2月28日、都内で会見し、米ファイザーが1月に発表した事業リストラ計画によって求められている人員削減について、希望退職者を募集するとの考えを表明した。来週にも労働組合に提案する。その上で、実施の可否、対象者、実施時期、削減数を協議する。
米ファイザーが発表した世界的な事業リストラ計画は、グローバルで開発が進められていた大型品の高脂血症治療剤であるトルセトラピブの開発中止、製品の特許切れなどの要因に対応するためのもの。日本でも従来の一般経費の見直しだけでは達成できないため、MRを含む日本要員約4000人のうちの15020%の削減や愛知県名古屋市の中央研究所の閉鎖などを検討することになった。
岩崎社長は15020%の人員削減が「現段階では必要」との認識を示し、MRも同様の割合の削減が必要だと経営サイドとして考えていることを説明。同社は、昨年12月に開業医と病院担当のMRを融合し、領域別の営業体制を実施しているが、リストラ後も大枠を変えない方向で取り組むとした。新体制では、今後ラッシュが予想される新製品発売後も既存製品に注力できるため、「人員削減してもうまくいくだろう」と、人員減後の生産性向上に期待感を示した。
また、中央研究所の閉鎖については、米ファイザーや労組と話し合いを進め、閉鎖するか否かを、要員390人の処遇も含め検討するとした。仮に閉鎖した場合であっても、所属する研究者にファイザーグループ内の社内で希望部署にエントリーできる「ジョブポスティング」制度を適用できるとしたが、どの程度活用されるかは不透明なところがある。
会見終了後の懇談で、リストラを実施する立場について同社長は、本紙に「社員へのリスペクトを忘れてはいけない」と話し、社員の転職などを支援していくことを示唆した。閉鎖計画の俎上に載った中央研究所所長の長久厚氏は本紙に、日本が成長産業として位置づけている中で「(産業を生み出す研究所が)撤退することが提案されたことは、非常に残念に思った。アカデミアにとってもマイナスだと思う」と語った。