エーザイは、日米欧での承認申請を断念した敗血症治療薬「エリトラン」(E5564)について、グローバル第III相試験「ACCESS試験」の追加解析で、効果のある患者群を同定した。これを受け、新たに臨床試験の実施可能性を検討していく方針で、エリトランの開発は再スタートに向け一歩前進した。また、重症敗血症以外の適応や、新投与経路製剤での開発も検討していくという。6月29日に開いたR&Dミーティングで明らかにした。
エリトランをめぐっては、1月に発表された「ACCESS試験」のトップラインデータで、主要評価項目を達成できなかったものの、開発継続の方針を示していた。そこで、ACCESS試験で得られた知見をもとに、追加解析が進められてきたが、このほど効果のある患者群が同定された。これを受け、エリトランの新たな臨床試験の実施可能性を検討していくことになった。
さらに今後、エリトランの開発については、重症敗血症以外の適応での開発も模索するほか、静脈注射でない投与経路の新製剤開発も検討していく方針を打ち出した。エリトランの最終的な方向性については、追加解析の結果を踏まえて判断するとしてきたが、今回、効果のある患者群が同定できたことにより、エリトランの開発は再スタートに向け大きく前進することになった。
エリトランは、エーザイが大型化を期待する自社開発の重症敗血症治療薬。ACCESS試験で主要評価項目を達成できなかったことから、2010年度中の日米欧同時申請を断念している。