後発品の使用拡大を受け、医薬品卸の扱う在庫アイテム数が増加し、在庫コストの圧縮が大きな課題に浮上している現状が、19日に開かれた日本ジェネリック医薬品学会で、4大医薬品卸の担当者から相次いで指摘された。特に大型後発品の販売元の乱立が、在庫管理のコスト増に影響しているとの声が多く、発表者からは、医療従事者のニーズに応じた採用品目の絞り込みを提案する意見も出た。
アルフレッサ物流本部の福神雄介氏は、同社の在庫アイテム数の32%を後発品が占め、「後発品在庫は広く、薄くなっている」と現状を指摘。在庫効率の悪さが課題とした。また、後発品の取り扱い種類の増加がコスト増を招いているとし、物流の効率化に向け、後発品選択の地域共有化などを提言した。
スズケンマーケティング課の岡山幸司氏も、後発品の売上比率、アイテム数が増加している現状を示し、「医薬品卸、病院・診療所、調剤薬局にとって、後発品をいかに選択するかが共通課題」と指摘した。その上で、42社から8規格132品目が発売された高血圧治療薬「アムロジピン錠」を例に挙げ、「アムロジピン錠だけで600品目弱の倉庫スペースが必要となる」と指摘。「後発品は数量、製品の種類共に増加傾向にあり、在庫管理コストの増大が課題になりつつある」と述べた。
東邦薬品営業本部の有働敦氏も、同社の在庫アイテム数に占める後発品の割合が45%と、増加している状況を説明。「1スペース当たりの在庫金額が、先発品メーカーの7分の1でありながら、使うスペースの広さとトレーサビリティーにかかるコストは同じ」と指摘。その上で、「アムロジピン錠」169規格を販売している現状を示し、「先発品で10規格しかない製品を169規格も扱うのは、卸にとって厳しい」と述べた。
さらに、品目によっては19種類の薬価が存在するものの、同一製品で製造元の重複が見られることに言及。「ユーザー、患者さんへの説明が難しい」として、「製造元と販売元を統一してもらい、せめて薬価も3種類以内にしてほしい」と要望した。
一方、メディセオ営業戦略本部の竹村秀明氏は、「多くの品目を扱う医薬品卸は、それぞれの医療提供施設に、メリットのある後発品の提案を行うことも大きな役割」と強調。後発品メーカーに対して、医療従事者のニーズに合った、付加価値のある後発品の開発を求めた。後発品の在庫管理が大きな課題に浮上する中、医薬品卸として、提案する製品をなるべく絞り込みたい考えを示した。