フランスの規制当局である保健製品衛生安全庁は、武田薬品が販売中の糖尿病治療剤「アクトス」(一般名:ピオグリタゾン)と「コンペタクト」(アクトスとメトホルミンの配合剤)について、新規処方の差し止めを通達した。仏当局が実施したCNAMTS疫学研究の結果、ピオグリタゾン投与患者で膀胱癌の発症リスクが認められたため。
同庁の措置は、ピオグリタゾン群が非投与群に比べ、膀胱癌の発症率について有意に高いとする、CNAMTS疫学研究の全体解析結果に基づくもの。通達では、医師に対してピオグリタゾンの新規処方を中止するよう求めている。ただ、服用中の患者については、主治医の相談前に服薬を中止すべきでないとした。
ピオグリタゾンをめぐっては、雄ラットを対象とした癌原性試験で、膀胱腫瘍の発現が見られたことから、膀胱癌との関係を評価する臨床研究が欧米で行われている。2011年3月からピオグリタゾンの再評価を行っている欧州医薬品庁では、20~23日に開催される会議で、CNAMTS疫学研究の結果を踏まえ、欧州レベルでの措置を検討する。
米国では、カイザーパーマネンテ医療保険グループの主導によって、大規模な疫学調査も進められており、13年に完了する予定。
国内でも、膀胱癌のリスクに関して、添付文書に追記する方向で、医薬品医療機器総合機構と協議を行っている。
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