政府が閣議決定した「高齢社会白書」によると、2010年10月1日時点で、65歳以上の高齢者人口は過去最高の2958万人(前年2901万人)で、1億2806万人の総人口に占める割合(高齢化率)も前年比0・4ポイント上昇し、23・1%となった。高齢者人口は、1947~49年生まれの「団塊の世代」が65歳以上になる15年には3000万人を超え、75歳以上の後期高齢者となる25年には、高齢化率が30・5%に達すると推計している。
高齢者人口のうち、「65~74歳人口」は1528万人で、総人口に占める割合は11・9%。「75歳以上人口」は1430万人で、総人口に占める割合は11・2%となった。白書では、高齢化率が23%を超え、5人に1人が高齢者、9人に1人が75歳以上という「本格的な高齢社会」になったとしている。
総人口が減少する中、今後も高齢化率はさらに上昇する見込み。55年には高齢化率が40・5%に達し、国民の2・5人に1人が65歳以上の高齢者となる社会が到来すると推計している。
総人口に占める75歳以上人口の割合も上昇を続け、71~74年生まれの“団塊ジュニア”が75歳以上となった後の55年には26・5%となり、4人に1人が75歳以上の高齢者となると推計されている。また、10年は現役世代2・8人で高齢者1人を支えているが、25年は2・0人、55年には1・3人で支える比率になるとした。
諸外国と比較しても、高齢化率は10年時点で最も高い水準となっている。2、3位のイタリアやスウェーデンよりも2~3ポイント高く、アジアでは、韓国より10ポイント、中国に比べて13ポイントほど高い。
また、高齢化の速度について、高齢化率が7%を超えてからその倍の14%に達するまでの所要年数(倍化年数)で比較してみると、フランスが115年、スウェーデンが85年、比較的短いドイツが40年、イギリスが47年かかっているのに対し、わが国は24年で到達。白書では、「高齢化が世界に例をみない速度で進行している」としている。
そうした状況の中、高齢者の孤立防止や居場所づくりを進める観点から、高齢者がボランティアなどの社会的活動に参加するためのきっかけづくりが必要と指摘。行政主導の取り組みだけでなく、地元の自治体や市民団体、地元企業、NPOなどが協力関係を築き、主体的に高齢者の社会活動を支援することも必要としている。