薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会は1日、放射線の体内汚染を軽減する日本メジフィジックスの「ジトリペンタートカル」「アエントリペンタート」、アステラス製薬が開発した新規作用機序の新規過活動膀胱治療薬「ベタニス」など9品目の新薬や効能追加などを審議し、承認を了承した。1カ月後をメドに正式承認される見通し。
審議品目
▽ベタニス錠25mg、同50mg(アステラス製薬):新有効成分ミラベグロンを含有し、過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿および切迫性尿失禁を効能・効果とする。選択的β3アドレナリン受容体作動薬で、膀胱平滑筋を弛緩させ、過活動膀胱による頻尿などの症状を改善する新規作用機序を持つ。再審査期間は8年。海外承認はない。
▽ホストイン静注750mg(ノーベルファーマ):新有効成分ホスフェニトインナトリウム水和物を含有し、てんかん重積状態、脳外科手術または意識障害(頭部外傷等)時のてんかん発作の発現抑制、フェニトインを経口投与しているてんかん患者における一時的な代替療法を効能・効果とする。
再審査期間は8年。24カ国で承認済み。この適応は、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」(検討会議)で開発要請品目だった。
▽コアベータ静注用12・5mg(小野薬品):ランジオロール塩酸塩を有効成分とし、コンピューター断層撮影による冠動脈造影における高心拍数時の冠動脈抽出能の改善を効能・効果とする。短時間作用型β1選択的遮断薬で、心拍数を抑えることで造影時のブレを抑える。再審査期間は4年。海外承認はない。
▽ラミクタール錠25mg、同100mg(グラクソ・スミスクライン):ラモトリギンを有効成分とし、双極性障害における気分エピソードの再発・再燃抑制の効能・効果を追加した。国内では、抗てんかん薬として用いられていた。再審査期間は、残余の2016年10月15日まで。84カ国で承認済み。
▽トラゼンタ錠5mg(日本べーリンガーインゲルハイム):リナグリプチンを有効成分とし、2型糖尿病(ただし、食事療法・運動療法のみで十分な効果が得られない場合に限る)を効能・効果とする。
DPP‐4阻害薬としては、国内で4番目となる。再審査期間は8年。米国で承認済み。
▽リカルボン錠50mg(小野薬品)、ボノテオ錠50mg(アステラス製薬):ミノドロン酸水和物を有効成分とし、骨粗鬆症を効能・効果とする。同剤は、服用者の負担を軽減させるため、ビスホスホネート系薬剤としては初めて4週間間隔の投与で効果を発揮するよう改良した。再審査期間は残余の17年1月20日まで。海外承認はない。
▽ガバペン錠200mg、同錠300mg、同錠400mg、同シロップ5%(ファイザー):ガバペンチンを有効成分とする抗てんかん薬。小児用量を追加し、新規格としてシロップ剤を加える。検討会議で開発要請品目だった。再審査期間は4年。61カ国・地域で承認済み。
▽ペガシス皮下注90μg(中外製薬)、コペガス錠200mg(同):有効成分は、ペガシスがペグインターフェロンアルファ‐2a(遺伝子組み換え)、コペガスがリバビリン。両剤の併用療法の効能・効果として、C型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善を追加する。
インターフェロンの単剤療法対象外の遺伝子型を持つ患者にも使用できる。再審査期間は4年。110カ国以上で承認済み。
▽ジトリペンタートカル静注1000mg(日本メジフィジックス)、アエントリペンタート静注1055mg(同):新有効成分として、ジトリペンタートカルがペンテト酸カルシウム三ナトリウム、アエントリペンタートがペンテト酸亜鉛三ナトリウムを含有。超ウラン元素(プルトニウム、アメリシウム、キュリウム)による体内汚染の軽減を効能・効果とする。
同剤は、原発事故で浴びたプルトニウムなどを、カルシウムや亜鉛と置換し、尿中に排泄するキレート作用を持つ。再審査期間は8年。米、独、仏で承認済み。東日本大震災前に承認申請されており、震災を受けた対応ではない。検討会議の開発要請品目にもなっていた。
報告品目
▽デパケン錠100、同200、同細粒20%、同細粒40%、同R錠100、同R錠200、同シロップ5%(協和発酵キリン):バルプロ酸ナトリウムを有効成分とし、片頭痛発作の発症抑制の効能・効果を追加した。検討会議の開発要請品目で、公知申請されていた。
▽セレニカR顆粒40%、同R錠200mg、同R錠400mg(興和):バルプロ酸ナトリウムを有効成分とし、片頭痛発作の発症抑制の効能・効果を追加した。検討会議の開発要請品目ではないが、デパケンの効能追加に合わせて審査した。