厚生労働省は22日、「医薬品・医療機器等安全性情報」(第233号)を公表した。悪性リンパ腫治療薬「リツキシマブ(遺伝子組み換え)」のB型肝炎ウイルスキャリア患者への投与で、劇症肝炎などの死亡例が報告されていることを「警告」欄に、また「重大な副作用」にも独立させて記載し、医療関係者等に注意を喚起した。昨年12月のブルーレターによる添付文書の改訂内容を紹介したもの。
CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫治療薬「リツキシマブ」(販売名:リツキサン注10mg/mL、全薬工業が製造販売)は、2001年に販売開始され、年間の推定使用患者は約1万6000人。年間推計販売額は約270億円。
直近2年間に企業から、副作用として劇症肝炎が6例(死亡5例)、消化管穿孔が3例(死亡1例)報告されたことから、B型肝炎ウイルスによる劇症肝炎、肝炎の増悪、肝不全について警告欄に記載、併せて「重大な副作用」にも独立して記載し、モニタリングなどの適切な対応を求めた。なお、ブルーレターより劇症肝炎症例が3例(死亡3例)減っているが、因果関係が否定されたとして一部症例を除外した。消化管穿孔については、「重大な副作用」に記載し、初期症状としての腹痛、下血、貧血等などをあげ、穿孔の有無などを確認し、適切な処置をとるなどの注意を喚起した。
また、セフェム系抗生物質「塩酸セフカペンピボキシル」(フロモックス小児用細粒100mg、同錠75mg、同錠100mg、塩野義製薬が製造販売)は、企業からの副作用報告として直近3年間で劇症肝炎が3例(死亡1例)あったことから、「重大な副作用」に劇症肝炎等の重篤な肝炎を追加した。同剤は97年に販売開始され、年間推定使用患者は約2000万人、年間推計販売額は290億円。
このほか、産前産後の神経症や月経不順等の婦人病に使われる「女神散」[ツムラ女神散エキス顆粒(医療用)、ツムラが製造販売]は、肝機能障害や横断が3例報告されてことから、「重大な副作用」に「肝機能障害、黄疸」を追加した。同剤は86年に販売開始され、年間推定使用患者は約6500人、年間推計販売額は約1億6000万円。