あすか製薬の山口隆社長は25日、都内で開いた決算説明会で、東日本大震災で被災したいわき工場について、6月末に完全復旧する見通しを明らかにした。特に立体倉庫が大きな被害を受け、甲状腺ホルモン剤「チラーヂンS錠」の製造に支障を来たしたことから、今後は委託製造先の拡充や外部倉庫の確保などを進め、安定供給に向けた生産体制のリスク分散を図る方針だ。
同社は、東日本大震災でいわき工場が被災。特に第三製剤棟の立体倉庫が大きな被害を受け、98%のシェアを占める「チラーヂンS錠」の製造がストップ。供給が停止する緊急事態になった。
これまでに、自社製造ラインの復旧、製造委託による生産、独サンド製品の緊急輸入で対応。「チラーヂンS錠」の安定供給を最優先で進めてきたが、6月末に震災前の生産体制に完全復旧する見通しが立った。
その上で、東日本大震災で、いわき工場に一極集中する生産体制に課題が浮上したことを受け、今後は委託製造先を拡充すると共に、川崎事業所や東日本・西日本に外部倉庫を確保する方向で、検討する方針を明らかにした。
山口氏は「チラーヂンS錠は最低薬価の製品だが、非常に重要な製品であることを再認識し、震災前よりもしっかりした供給体制を作っていきたい」と強調。生産体制のリスク分散を図ることで、安定供給体制の確立を最優先させる考えを示した。