厚生労働省は、新薬の承認審査手数料を現行の2倍以上に引き上げるなど、審査や治験相談の手数料改定について、3月17日を提出期限として意見募集を開始した。改定案によると新薬の審査手数料は新有効成分、新投与経路、新配合割合の品目が、984万1500円から2378万8100円に、新効能、新用法の品目が469万9000円から1135万3100円とするなど、オーファンドラッグ、後発医薬品、一般用医薬品も含め、一律2.4倍に引き上げられる。また、治験相談手数料も8割強の値上げとなる。施行は4月1日の予定。
医薬品の承認審査については、日本では欧米諸国に比べ時間がかかるとの指摘があり、欧米で承認されている有効な医薬品が、わが国では使えないという「ドラッグラグ」の問題が生じている。
医薬品医療機器総合機構も発足以来、審査体制の充実を図ってきたものの、審査人員は欧米に比べなお脆弱で、審査業務の増加、科学技術の発展に伴う審査の高度化などに対応するため、一層の体制強化が求められている。また昨年12月には、総合科学技術会議が「総合機構の審査人員を、概ね3年間で倍増する」との提言を行っている。
こうした点を踏まえ、新薬審査の複雑化・迅速化に伴う1件当たりの業務量増加に対応して審査体制の充実等を図るため、総合機構における承認審査等の手数料単価を引き上げることにしたもの。
また総合機構も、治験相談手数料を引き上げる方針。改定案では、医薬品申請前相談が331万9400円から601万1500円と、81%引き上げられるほか、医薬品の第I相試験開始前相談、後期第II相試験開始前相談、第II相試験終了後相談、追加相談もそれぞれ現行より81%、前期第II相試験開始前相談は92%の引き上げが予定されている。
総合機構ではこの改定を実施するに当たって、▽開発から承認までの期間を、今後5年程度で欧米並みに短縮できるよう計画的に審査体制を整備▽09年度までの3年間に新薬審査、治験相談に係る人員を2300240人程度増員▽全ての治験相談に、タイムリーに対応できる相談体制の構築▽正式な申請前に、毒性、薬理等の資料を実質的に審査する事前評価制度の導入など、申請後審査業務の効率化▽専門性の高い審査員育成に向けた新たな研修制度の導入▽新薬審査における進行管理の強化▽開発・審査段階から市販後安全対策の企画・立案体制の強化▽海外審査当局との連携強化――などを図るとしている。