全国の国公私立を含む薬科大学(薬学部)の6年制学科で、長期実務実習が始まった昨年度に、5年次への進級率が8割を下回っていたことが、文部科学省の調査で分かった。
調査は、薬学部を置く全74校に対して行った。2006年度に入学した学生1万1950人のうち、5年次へ進級できたのは9408人(進級率78・7%)で、2542人が留年したことが明らかになった。
また、各大学の倍率・充足率を調べた結果では、08年度から10年度にかけて、3年連続で定員割れを起こしていた大学は17校だった。そのうち、新設のため5年次に進級する学生がいない3校を除いた、14校の進級率の平均は71・1%にとどまり、全体を下回っていることも分かった。
10日に開かれた薬学系人材養成のあり方検討会では、「製薬企業であれば、競争で自然淘汰されるまで様子を見るということもあるが、教育でそうするのが適切なのか」など、入学者数増加による教育の質低下に、危機感を示す意見が出ており、今後の議論に影響しそうだ。