大日本住友製薬の多田正世社長は11日、大阪市内で開いた決算説明会で、統合失調症治療薬「ラツーダ」に続く海外戦略品の開発について、「CNS領域を中心に、癌などの幅広い領域から選定する」考えを明らかにした。
大日本住友製薬は昨年10月、FDAから「ラツーダ」の統合失調症に対する販売許可を取得し、今年2月から米国で販売を開始した。
海外戦略品の第一弾となった「ラツーダ」の売上進捗状況について、多田氏は「ラツーダの処方率は、最近米国で発売された競合品の『ファナプト』(ノバルティス)に比べてかなり高い」と紹介。さらに、「11年度102億円、14年度700億円の当初売上計画に向けて、順調な立ち上がりを示している」と強調した。
ラツーダは、米国で18年末に特許切れとなるが、ポストラツーダについても、「現在、第I相試験段階にあるものでも、開発速度を速めれば17年前後の上市が可能になる」と明言。その上で、「米国で開発中のアルツハイマー病治療薬(DSP‐8658)や抗うつ薬(DSP‐1053)などCNSを中心に、癌領域や導入品(脳梗塞治療薬)も視野に入れ、幅広い分野から選定していく」方針を示した。
一方、欧州販売では、3月に武田薬品との間で、ルラシドン(米国販売名ラツーダ)の早期上市、製品価値の最大化を目指して、開発・販売契約を締結。武田薬品が英国を除いた欧州でのルラシドン販売権を有するが、英国だけを自販体制にした理由について、多田氏は「英国には、既に当社の事業ベースが存在する。ポストラツーダをわれわれだけで販売できるかの調査機能も兼ねて、英国では自社販売を目指す」と説明した。