薬事・食品衛生審議会薬事分科会は3月25日、初の直接的経口Xa因子阻害薬「リクシアナ錠」の薬事承認を了承した。今月中にも正式承認される見通し。このほか厚生労働省から、1、2月の医薬品第一、二部会や一般用医薬品部会で審議・了承した品目の報告を受けた。
審議品目
▽リクシアナ錠(第一三共)=新有効成分のエドキサバントシル酸塩水和物を含有し、下肢整形外科手術後の静脈血栓塞栓症の発症抑制を効能・効果とする。血液凝固に関与する第Xa因子を直接阻害する、新たな作用機序を持つ。臨床試験では、既存薬のエノキサパリンナトリウムとの非劣性が示されており、治療の選択肢が広がる。海外承認はない。再審査期間は8年で、市販直後調査以外に承認条件はつけない。
報告品目
▽スープレン吸入麻酔液(バクスター)=デスフルランを有効成分とし、全身麻酔の維持を効能・効果とする。
▽リパクレオン顆粒、同カプセル(アボット製薬)=新有効成分のパンクレリパーゼを含有し、膵外分泌機能不全における膵消化酵素の補充を効能・効果とする。
▽ミルセラ注シリンジ(中外製薬)=新有効成分のエポエチンベータペゴル(遺伝子組み換え)を含有し、腎性貧血を効能・効果とする。
▽イクセロンパッチ(ノバルティスファーマ)、リバスタッチパッチ(小野薬品工業)=新有効成分のリバスチグミンを含有し、軽度・中等度のアルツハイマー型認知症の症状の進行抑制を効能・効果とする。アルツハイマー型認知症治療薬で初の貼付剤。
▽レクサプロ錠(持田製薬)=有効成分はエスシタロプラムシュウ酸塩で、うつ病・うつ状態を効能・効果とする。4番目の選択的セロトニン再取り込み阻害薬。
▽ハラヴェン静注用(エーザイ)=新有効成分のエリブリンメシル酸塩を含有し、手術不能または再発乳癌を効能・効果とする。既存薬より高い有効性が期待できるため、優先審査の対象になっていた。類薬にはビノレルビン、パクリタキセル、ドセタキセルがある。
▽ミラペックスLA錠(日本ベーリンガーインゲルハイム)=プラミペキソール塩酸塩を有効成分とするドーパミンD2受容体作動薬。有効成分が同じで、パーキンソン病と特発性レストレスレッグス症候群の適応を持つ速崩錠の「ビ・シフロール」が承認されており、このうちパーキンソン病への投与を、1日3回から1日1回に減らす、徐放錠として開発された新剤形・新用量医薬品。
▽トラムセット配合錠(ヤンセンファーマ)=トラマドール37・5mgとアセトアミノフェン325mgの新配合剤。非オピオイド鎮痛剤で、治療困難な非癌性慢性疼痛、抜歯後の疼痛の鎮痛を効能・効果とする。
▽ポプスカイン(丸石製薬)=レボブピバカイン塩酸塩を有効成分とする。既に術後鎮痛の適応で0・25%製剤、硬膜外麻酔の適応で0・75%製剤があり、今回は、新たな効能・効果を0・25%製剤に追加し、伝達麻酔のみの適応で0・5%製剤を加える。
▽グルベス配合錠(キッセイ薬品工業)=速効型インスリン分泌促進薬で、ミチグリニドカルシウム水和物とαグルコシダーゼ阻害薬のボグリボースを含有し、2型糖尿病を効能・効果とする。
▽サイモグロブリン点滴静注用(ジェンザイム・ジャパン)=有効成分は抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンで、腎移植後の急性拒絶反応の治療を効能・効果に追加する。類薬のオルソクローンOKT3注(ヤンセンファーマ)の世界的な販売中止が決まり、急性拒絶反応の治療薬が医療現場から消えてしまうため、迅速審査の対象となった。
▽フィニバックス点滴用、同キット点滴用(塩野義製薬)=有効成分はドリペネム水和物。高用量(1g×3回/日まで)での使用を可能とする新用量医薬品。
一般薬2件も報告
報告品目(一般用)
▽エルペインコーワ、リフィットコーワ(興和)=鎮痛成分イブプロフェンと鎮痙成分ブチルスコポラミン臭化物を配合し、主な効能・効果は、軟便を伴う下腹部の痛みがある場合の生理痛。
▽ストナリニ・カット、ストナリニ・ガード(佐藤製薬)、ニポラジンAG鼻炎錠(アルフレッサファーマ)=抗アレルギー成分「メキタジン」の1日用量を、医療用医薬品と同じ6mgに増やした抗アレルギー薬。