あすか製薬は25日、製造がストップしていた甲状腺ホルモン剤「チラーヂンS錠」(成分名:レボチロキシンナトリウム)の生産を再開した。被災したいわき工場(福島県いわき市)の製造ラインが再稼働し、チラーヂンS錠を出荷できるようになった。ただ、フル稼働には時間がかかるため、当面は製造委託会社による生産、海外製品の緊急輸入を含め、被災前の供給量を確保したい考え。
東日本大震災の影響を受け、チラーヂンSの98%を生産していた同社いわき工場の製造設備や立体倉庫が損傷し、チラーヂンS生産の見通しがつかない状況にあった。
チラーヂンSの供給ストップは、甲状腺機能低下症患者などの生命に直結するため、同社はいわき工場の復旧に全力を挙げる一方、同じ成分であるレボチロキシンナトリウムを供給する代替措置を急いでいた。今回、いわき工場の製造ラインが再稼働できる状態に復旧したことから、まず需要の大きいチラーヂンS錠から生産・出荷を再開することになった。
いわき工場では、震災によって生産が途中でストップしていたチラーヂンSの製造ラインを再稼働することによって、当面医療現場に必要なチラーヂンS錠を確保する。ただ、製造ラインは再稼働したものの、まだフル稼働には時間がかかる見通し。生産体制が十分に整っていない中、従来通りの供給量を確保するためには、代替措置として、製造委託会社による生産、海外製品の緊急輸入が引き続き必要となる。そのため同社は、「長期処方の自粛は継続してお願いしたい」と呼びかけている。