厚生労働省は、同時接種後の死亡が相次いだため、一時見合わせている小児用肺炎球菌ワクチン「プレベナー」と、ヒブワクチン「アクトヒブ」の予防接種を、4月から再開する。24日に開かれた薬事・食品衛生審議会安全対策調査会と予防接種副反応検討会の合同会合が、「接種と死亡に直接的な明確な因果関係は認められない」と結論づけたことを受けて決めた。重篤な基礎疾患のある乳幼児であっても、単独接種を考慮しながら、医師の判断で同時接種することを認める。
死亡が報告されているのは、2歳までの乳幼児7例で、接種後7日後までに亡くなっている。このうち3例が基礎疾患を有し、4例は基礎疾患が明確でなかった。いずれも、複数のワクチンを同時接種していた。
国立感染症研究所によるワクチン検定では、死亡症例へ投与した全てのロットに逸脱は認められず、製造工程にも問題はなかった。
両ワクチンについては、国内外のデータで、同時接種による副反応の発現率が、単独接種に比べ高い傾向を示す報告があるものの、重篤な副反応の増加は認めらていない。専門家会合は、「特に安全性上の懸念は認められない」と判断した。ただ、重い先天性心疾患などのある患者については、「状態によっては、十分な注意が必要」とした。
そのため、両ワクチンを使用する際の留意点として、[1]同時接種のメリットと単独接種が可能なことを示した上で、同時接種を行う場合には保護者の同意を得る[2]重篤な基礎疾患のある乳幼児については、状態を確認し慎重に接種する――を挙げた。
会合では、単独・同時接種の取り扱いをめぐり、「重い基礎疾患を有する子どもほど、状態が安定した時に同時接種する必要がある」とする意見も出た。しかし、公費助成による接種促進によって、経験の乏しい医師が接種するケースが増えたり、同時接種に不安を感じる保護者がいることも予想されるため、どちらかを推奨する考え方を明示せず、最終的に医師の判断に委ねることで合意した。
このほか今後の対応では、定期的な安全性評価を継続するほか、6カ月間の対10万接種当たり死亡報告数が0・5を超えた場合に、専門家を集めて速やかに対応を検討する。海外における死亡報告の頻度は、感染症や乳幼児突然死症候群などを含め、小児用肺炎球菌ワクチンで対10万接種1程度。国内の場合、両ワクチンの今回の症例で対10万接種0・1~0・2程度の水準になる。
厚労省は、自治体とも調整して、今月中に具体的な注意点や考え方を整理したQ&Aを作成する。添付文書の改訂は指示しない。