薬事・食品衛生審議会一般用医薬品部会は24日、脂質異常症治療薬「エパデール」(有効成分:イコサペント酸エチル)の転用を再審議したが、了承されなかった。
同剤は、半年に1回のペースで定期健康診断を受診し、2回連続して治療を必ずしも必要としない境界領域と指摘された人の、中性脂肪値の回復を効能・効果としている。
このため、医薬品の購入者が、薬局に健康診断の結果を持参し、薬剤師がチェックリストを用いて禁忌や、運動療法を行っているかどうかなどを確認した上で、販売することを想定している。
しかし、この日の部会でも、複数の医師委員から、医師の診療を介さない販売に、懸念を示す意見が相次いだ。厚労省によると、疾患の治療は健康診断の結果だけでなく、運動療法、食事療法を行い、最後に薬物療法を行うといった、段階を経る必要性が指摘され、「いきなり薬という形で販売されることに懸念がある」「医師の判断のもと使われるべき」などの意見が出た。
薬剤師委員からは、医師と連携して疾患予備群を見出すことにより、「健康増進に努めたい」などの意見も出たが、議論は平行線をたどった。
他の委員からは、スイッチ候補成分として、長い間議論してきた経緯もあるため、「改めて何が足りないのかを考える必要がある」との指摘もあり、「事務局として今後、どういう方向で検討するか整理し直すという結論になった」(厚生労働省)という。
興和の生理痛薬など了承
この日の部会では、興和の鎮痛成分イブプロフェンと鎮痙成分ブチルスコポラミン臭化物を配合した生理痛薬「エルペインコーワ」、抗アレルギー成分「メキタジン」の1日用量を、医療用医薬品と同じ6mgに増やした抗アレルギー薬として、佐藤製薬の「ストナリニ・カット」「ストナリニ・ガード」と、アルフレッサファーマの「ニポラジンAG鼻炎錠」を了承した。3月の薬事分科会では報告扱い。
「エルペインコーワ」などの効能・効果は、主に軟便を伴う下腹部の痛みがある場合の生理痛。用法・用量は、成人1回1錠、1日3回を限度とし、なるべく空腹時を避けて服用。服用間隔は4時間以上おく。ドイツやイタリアでは、アセトアミノフェンとブチルスコポラミン臭化物を配合した生理痛薬がOTC薬として販売されている。
「ストナリニ・カット」などの効能・効果は、花粉、ハウスダストなどによる鼻のアレルギー症状(くしゃみ、鼻水、鼻づまり)の症状緩和。成人1回1錠を1日2回(朝・夕)服用する。
委員からは、用量が医療用並みの6mgに増えるため、眠気などの副作用について、薬剤師による書面等での注意喚起を徹底するよう、求める意見が出た。
同一成分のOTC薬としては、1日4mgの製剤が、じんま疹、湿疹、かぶれによる痒み、鼻炎の効能・効果で、第2類薬として販売されている。
いずれも第1類薬に分類され、承認条件として、3年間の安全性に関する製造販売後調査が付いた。