厚生労働省の重篤副作用総合対策検討会は16日、患者や医療従事者が副作用症状を早期に発見・対応できるようにする、「重篤副作用疾患別対応マニュアル」として、12種類の内容を大筋で了承した。2カ月程度で表現や掲載症例を確定し、厚労省と医薬品医療機器総合機構のホームページに掲載する。
マニュアルは、厚労省の委託を受けた学会が、マニュアル作成委員会を組織し、日本病院薬剤師会と議論しながら原案を作成したもの。重篤副作用総合対策事業として2005年度に始まり、今回を含めて合計75種類を整備した。予算事業としては今年度で終了するが、新たな知見を反映させるため、関係学会の協力を得て、必要な更新は行う。
今回まとめたのは、[1]薬剤性味覚障害[2]低血糖[3]小児の急性脳症[4]急性散在性脳脊髄炎[5]無菌性髄膜炎[6]卵巣過剰刺激症候群[7]角膜混濁[8]出血性膀胱炎[9]特発性大腿骨頭壊死[10]急性腎盂腎炎[11]腫瘍崩壊症候群[12]腎性尿崩症――の12ガイドライン。
このうち、急性腎盂腎炎の対応マニュアルは、関係学会と公表の取り扱いを検討することとなった。急性腎盂腎炎は、抗TNF‐α生物学的製剤などによる免疫低下が原因となって引き起こされるが、同じように免疫低下で、リスクが高まる肺炎や結核を取り上げないことを、疑問視する意見が出たためだ。ただ、そもそもマニュアル事業の基本的な位置づけは、薬剤の特性から対策を考えるのではなく、疾患に着目し、対策を導き出す点にある。そのため、対象とする疾患も、過去に集積された副作用から選定しており、厚労省は他のマニュアルと同様に公表したい意向だ。