政府は15日、「総合特区法案」を閣議決定した。法案には、法人税の軽減措置や財政上の支援措置をはじめ、工業地域での病院建築を可能にしたり、民間企業の特別養護老人ホームへの参入を認めるなど、規制・制度の緩和を行い、地域活性化や経済成長を促すことが盛り込まれている。
特区法案は、国際競争力の強化や、地域力の向上を図ることなどを目的に、地域を限定して、規制緩和や税制・金融・財政上の支援措置を行うためのもの。
税制上の支援措置では、特区内の企業が機械や設備を新たに取得した際、法人税を減税する仕組みを導入する。財源として、2011年度予算案で計上された、151億円の「総合特区制度推進調整費」を活用する方針も示されている。
金融上の支援策では、総合特区に資する事業に必要な資金を、金融機関から借入れる場合、国が当該金融機関を指定した上で、予算の範囲内で利子補給金を支給することも盛り込んだ。
工業地域等における用途規制の緩和(建築基準法の特例)は、近隣諸国からの患者を積極的に国内に受け入れ、外貨獲得などを見込む「医療ツーリズム」の普及を想定している。現行の建築基準法では、工業地域での病院や福祉施設、ホテル建築などは不可能になっているが、規制を緩め、病院や宿泊施設を建設できるようにする。
現行の老人福祉法では、特別養護老人ホームの経営主体が自治体と社会福祉法人に限定されているが、規制を緩和し、民間企業の参入を認める。
総合特区は、医療や環境、観光など成長が見込まれる分野に、積極的に取り組む地方公共団体からの申請を受け、内閣総理大臣が指定する。指定されれば、税制や財政上の支援、規制緩和などの措置が受けられる。