厚生労働省保険局は、後期高齢者医療の当面の重点課題として、[1]重複・頻回受診者に対する訪問指導体制の強化[2]後発品普及[3]長寿・健康増進事業の推進[4]医療費通知・医療費削減査定通知の送付の徹底――を挙げ、都道府県や後期高齢者医療広域連合へ、対応を要請した。後発品の普及では、国民健康保険と後期高齢者医療の全保険者が、差額通知を加入者に送付できる体制を2011年度に整備する方針を示した。
重複・頻回受診者への訪問指導は、レセプト情報などから対象者を選定し、保健師らが適正受診を促す取り組み。2009年度に14広域連合が実施し、3530人に介入して1564人の受診改善につながった。指導後3カ月の給付費縮減効果で、1億6148万円の実績を上げたが、10年度での実施は19広域連合にとどまる。そのため厚労省は、さらなる拡大を図りたい考え。
後発品の普及については、患者が医療機関や薬局で、後発品の調剤を求める際に使える「希望カード」の配布を、全保険者で進めているが、秋田、神奈川、静岡、三重、兵庫の広域連合で遅れているため、完全実施を目指す。
また、都道府県国保連合会が一括し、被保険者へ後発品差額通知を送付する仕組みを、全国的に導入する。システムは国民健康保険中央会が開発し、市町村や広域連合が、国保連へ事務を委託する形をとる。11年4月当初から委託が可能になる見通しで、厚労省は、特別調整交付金などによる、保険者に対する委託経費の支援を検討しているという。
長寿・健康増進事業は、08年7月から特別調整交付金の一部を活用して実施している。先進的な広域連合を重点的に支援することで、さらに積極的な取り組みを促す。
医療費通知や医療費減額査定通知の送付は、保険者の基幹的な業務だが、医療費通知は4カ所、査定通知は7カ所の都道府県で実施していない。