日本薬剤師会は、薬剤師トリアージによる有害事象未然回避の事例収集を進めているが、その一部を公表した。事例では特に、一般用薬での対応が困難な症状で、皮膚疾患の外用薬を求めてきた消費者に対し、販売を中止し、受診勧奨を進めた例などが集まった。医師への紹介状や、診療情報提供書などを介した地域医療連携の例も収集された。
事例収集では、性別や年齢区分など患者背景のほか、▽購入を希望した医薬品の種別▽具体的な内容▽薬局での判断▽薬局での対応(受診勧奨、使用中止アドバイス、販売、医薬品を変更して販売など)▽その後の患者状況--などを調査した。
事例で目立ったのが、外用薬を求めて来局した消費者が、帯状疱疹や皮膚の化膿、疥癬など、一般薬での対応が難しい症状の疑いが見られ、一般薬の販売をやめて、皮膚科への受診を勧めた事例。早期対処により、症状の悪化を防いだり、皮膚疾患に湿布薬を使うなど、誤った使用を未然に防いだ例が複数見られた。
このほか、1カ月以上の長期にわたり症状が続いている例や、気管支喘息など既往症のある例、他の薬を服用中の消費者などに、注意喚起した上で販売あるいは販売を中止して受診を勧めた例がまとめられた。中には、一部壊死を起こしているような外傷に、「マキロンS」を求めてきた消費者もいた。
収集事例の中では、紹介状を介した受診勧奨や、医師から診療情報提供書を受け取るなど、地域の医療連携が行われている例もあった。
日薬では今後、さらに事例を収集し、ネット販売など一連の規制改革議論への反対材料としたい考え。