政府の高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)の「規制・制度改革に関する専門調査会」が、一般薬の販売規制の見直し方針を取りまとめ、インターネットなどを使った新たな郵送販売ルールを設け、非対面販売を解禁する方向性を打ち出した。販売業者に新ルールの遵守を義務づけるが、対面での情報提供が努力義務となっている第2類薬については、新ルールの遵守も「努力義務」としている。
専門調査会は、行政刷新会議の規制・制度改革の動きに併せ、他のテーマに先行する形で一般薬販売規制の対応を固めた。
まず、基本的考え方として、「対面に限定しなくても、ITを活用することにより、薬事法で求められる情報提供を行うことは可能であるという結論を得た」との見解を示した。
新たな販売ルールは、現行のネット販売の欠点とされる問題を補う観点で整理した。具体的には、[1]購入者の連絡先、属性等の確認[2]購入者の状態に応じた情報提供、購入制限[3]専門家による相談体制[4]専門家と店舗の実在情報の提示[5]購入者による製品や添付文書の確実な確認――の5項目を挙げている。郵送販売のみを行う無店舗販売は認めないことも明記した。
また、「対面販売と非対面販売とで、副作用リスクにどのような差があるかについては、十分なエビデンスがない」とし、販売方法を見直した影響を把握するために、副作用報告で購入経路を必須項目にすることも課題に位置づけた。
このほか、IT技術を活用し、医薬品販売の安全性を高める必要性も強調し、個人輸入による健康被害や、副作用被害の拡大を防止するために、新たな対策を提言している。
個人輸入については、国内で販売が認められた医薬品を販売するウェブサイトや店舗かどうかを、国民が容易に見分けられる仕組みを設けるよう、国に求めている。個人輸入した医薬品による健康被害が、国の被害救済制度の対象にならないことや、海外医薬品の健康被害の発生状況を、インターネット上で情報提供する必要性も指摘している。
副作用被害の拡大防止では、薬局・薬店が購入者の同意を得た上で、購入者の連絡先と医薬品の情報を一定期間保存し、新たな副作用が発生した場合に、購入者へ電子メール等で注意喚起を行うルールの制定を提案している。