日本薬剤師会は、OTC薬品について、より的確な情報提供を行うために、インタビューフォーム(IF)の作成を進めている。現状では薬剤師が情報提供に用いることができる情報は、消費者が閲覧できる添付文書の域を出ないことから、血中濃度や開発の経緯、副作用の発現頻度など、より詳細な情報提供をメーカーに求めていく。専門知識に基づく情報提供によって、消費者に対する説明責任を果たしたい考えだ。今後、日薬が作成するフォーマットに基づいて、日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)と共に、日本OTC医薬品協会などへ協力を要請する。当面は、第1類薬についての作成を急ぐ方針だ。
改正薬事法により、OTC薬について、リスクに応じた適切な説明が求められるようになった。しかし現状では、薬剤師が説明資料として活用できるのは、消費者が閲覧できる添付文書のみで、より適切な情報提供をするための参考資料が不足していた。そこで日薬では、OTC薬のIFの作成に着手する。
担当の藤原英憲常務理事は、「今一番問題なのは、特別にMRの協力を得て勉強会をしない限り、薬剤師が活用できる情報が、添付文書内容の域を出ないことだ。医療用医薬品の添付文書では、副作用の発生頻度や海外での事例などが事細かに載っている。こうした情報は、プロなら当然知りたい情報で、知った上で販売するのと、そうでないのとでは大きく違う」と、現状を分析。
その上で、「例えば、第1類薬として発売されたロキソニンSは頓服となっているが、血中濃度の推移などを見て、服用間隔は4時間以上開ける必要があることなどを、きちんと説明できる」とし、専門家として責任を持って服用説明するための、IFの必要性を強調する。
作成に当たって日薬は、まず日本病院薬剤師会のIFを参考にしたフォーマットを準備。その後、JACDSなどと共に、OTC薬協へフォーマットに則ったIF作成を要請していく考えだ。
フォーマットでは、▽開発経緯や製品の特徴および有用性▽溶出試験など製剤に関する事項▽通常用量での血中濃度やバイオアベイラビリティなど薬物動態▽副作用発生頻度--など、服薬説明に必要な項目を盛り込むことが検討されている。