エーザイは28日、癌の遺伝子解析などを行う研究開発子会社「H3バイオメディシン」を米マサチューセッツ州に設立し、研究活動を開始したと発表した。ゲノム解析による創薬標的の同定やリード化合物創出、バイオマーカー研究など、エーザイの癌プロダクト・クリエーション・ユニット(PCU)では手がけないような先端研究に取り組み、長期的な視野で抗癌剤創出を目指す。
新たに立ち上げたH3バイオメディシンは、米事業会社エーザイ・インクの子会社として設立された。癌遺伝子解析研究の世界的権威であるトッド・ゴラブ教授、有機化学の大家で多くの癌創薬標的を発見してきたスチュワート・シュライバー教授を、サイエンティフィック・アドバイザーに迎え、特定の癌ゲノム情報に基づく創薬分子標的の同定や遺伝子解析、バイオマーカー研究などの先端研究を推進する。
また、昨年11月に創薬研究で戦略的提携を行った米フォーマ・セラピューティクスのスクリーニング技術、化合物ライブラリーを活用すると共に、エーザイの癌PCUとも連動。新たな探索研究アプローチを取り込み、長期的な視野で個別化医療を実現できる次世代抗癌剤の創出を目指していく。
今後エーザイ・インクは、H3バイオメディシンに対し、10年単位の長期間にわたって、約2億ドルの研究資金を負担する。さらに、H3バイオメディシンが創出した化合物については、POC(作用機序の証明)段階までの臨床開発費用も支援する。
H3バイオメディシンの社長には、エーザイ常務執行役の吉松賢太郎氏が就任。2011年度中に40人程度の採用を行い、将来的には80人程度まで陣容を拡大する予定。